核抑止に依存しない安全保障政策への第一歩を踏み出して欲しい
2016年05月17日
2016年5月27日にオバマ大統領が現職の米国大統領として初めて被爆地広島を訪問する。長年、被爆者をはじめ、核軍縮・不拡散専門家・市民団体が要望してきたことが、ようやく実現する。はたして、この訪問は何をもたらすのか。第二次世界大戦の清算につながるのか。現在の日米同盟の強化か。そして、核兵器のない世界への大きな一歩か。おそらく、今回の訪問を巡って、様々な期待や思惑が絡み合っているに違いない。筆者はこれを、過去、現在、未来の3つの視点から期待すべき成果についてまとめた。
今回のオバマ訪問は、そういった過去への過ちについて、日米首脳がともに戦争で犠牲になった方々への追悼と、二度と戦争の過ちを繰り返さないことを誓うことが期待される。その後安倍首相が別の機会に真珠湾を訪問すればより望ましいといえる。
今回の訪問の一つの要素として、日米関係の強化があることも間違いないだろう。すでに安倍首相、ケネディ大使も、そのような趣旨の発言があったと報道されている。ただ、あとで述べるように、単に日米関係の強化のためだけであれば、広島訪問まで行う必要はない。被爆地への訪問ならではの、日米に共通する課題について何らかの新たな対応が必要だ。
その視点から筆者が注目するのは、核セキュリティ対策である。世界に存在する核兵器に転用可能な核物質の在庫量を削減することで、日米が協力することはすでに核セキュリティサミットでも述べており、日米ともに悩みを抱えているプルトニウム在庫の削減にコミットすることができれば、大きな意義をもつ。
最後に、今回の訪問で最も大きな意義をもたらすと思われる
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