決定した国際作業部会の委員・山崎敏光東大名誉教授に聞く
2016年06月17日
周期表にある元素のうち、原子番号92のウランまでは自然界から発見された。それより重いものは人工的に合成することで確認されてきたが、原子番号104以上の「超重元素」はすべて不安定で、生成量も少なく、確認が難しかった。一つの研究グループが「発見」を主張する論文を発表しても、それだけで新元素発見と見なすわけにはいかないのが「超重元素」だった。
発見かどうか判定する役割を担っているのが、学会の連合体である国際純正・応用化学連合(IUPAC)と国際純粋・応用物理学連合(IUPAP)の合同作業部会だ。
森田浩介九州大教授を中心とする研究グループは、埼玉県和光市にある理研の重イオン線形加速器を使って2004年に一つ、2005年に一つの113番元素の合成に成功し、論文を発表した。しかし、2007年時点で第3期合同作業部会は「二つでは少なすぎる」などを理由として新発見と認めなかった。一方で、ロシアと米国の共同研究グループが違う方法で113番元素を見つけたと一足早く発表、ところがこちらも2007年の段階では新発見と認められず、どちらに命名権が与えられるか、世界が固唾を飲んで見守るようになった。
第4期合同作業部会は2012年にスタートし、日本から原子核物理が専門の山崎敏光・東大名誉教授がメンバーに入った。5人のメンバーのうち物理学者は2人、化学者が3人で、委員長は核化学が専門のポール・キャロル米カーネギーメロン大学名誉教授が務めた。
理研の森田グループは2012年に3個目の113番元素の合成に成功。一方のロシアチームも複数のやり方で合成数を増やし、2013年までにその数は50個を超えた。
原子核は陽子と中性子の集合体だ。陽子の数が原子番号で、陽子と中性子の合計数が質量数である。元素が何かは陽子の数(つまり原子番号)で決まり、質量数が違うものは同位体(アイソトープ)と呼ばれる。
森田グループの方法は、
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