七夕の日に同期の大西飛行士が宇宙へ
2016年07月04日
皆さんこんにちは。宇宙飛行士の油井亀美也です。
今回からWEBRONZAの筆者に加わることになりました。皆様に、私の経験や日ごろ思ったことを書く機会を頂けたのをとてもうれしく、光栄に思います。他方で、いざ自由に書けるとなると、何を書いたら良いものか、少し戸惑ってしまう面もあります。
私の前職は自衛隊の戦闘機パイロットで、同時にテストパイロットという新しい航空機や装備品を試験するパイロットも務めていました。どちらかというと情報を公開するよりは、秘密を守ることに重点をおいて仕事をしていたわけですが、宇宙飛行士として仕事を始めてからは、一転して宇宙のことを知って頂くためにたくさんの情報発信をすることになりました。でも、宇宙飛行士としての勤務は約7年間、自衛隊員としての勤務は約20年間ですから、秘密を守るという自衛隊での癖がなかなか抜けないのは仕方ないかもしれませんね。
ただ、航空自衛隊で勤務した経験が、今後の執筆で役に立つこともあるのではないかと感じています。経験した様々な事柄以上に、航空自衛隊で培った気質が役立つかもしれません。
一言で自衛隊と言っても、陸海空それぞれで、仕事の仕方や隊員の気質が大きく異なります。航空自衛隊は「勇猛果敢、支離滅裂」などと言われ、後先を考えずにとにかく積極的にやってみることが多いです。
皆さんもご存じのように、飛行機のスピードはとても速いですから、時には考えるよりまず行動しなければ取り返しのつかないことになります。例えば、航空自衛隊が24時間365日実施している対領空侵犯措置では、パイロットは出動の命令が下ってから5分以内に離陸しなければなりません。正体の分からない航空機が、高速で日本に迫って来るのですから当然です。音速に近いスピードで接近する航空機であれば、5分間で100km近く接近します。ですから、緊急発進の命令を受けたパイロットは、詳しい状況はもとより、自分がどこに向かうのかも良く分からないまま、航空機に乗り込む時もあります。とにかく行動を開始し、行動しながら状況を判断し、更に次の行動を決定しているのです。
というわけで、今回も私はあまり細かい所は気にせずに、まずは1回目の原稿を書いて、皆様の反響を見ながら、次回以降の構想を練っていきたいと思います。そうです!操縦桿(かん)をペンに持ち替えて、航空自衛隊戦闘機パイロットの「勇猛果敢」な所を見せる時がやってきたのだと思っています。でも、なるべく「支離滅裂」にならないように気をつけますので、お付き合いください。
さて、早速今回の話題です。まもなく、大西卓哉飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)での長期滞在が始まります。現時点での
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