メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

米国とドイツでSTAP細胞関連の論文発表

不都合な事実を無視するマスメディア

湯之上隆 コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

STAP細胞再び

「STAP細胞はES細胞が混入したものだった」「小保方氏はデータ改竄など不正を行っていた」

 STAP細胞事件はこれで一件落着したはずだった。ところが、2015年末頃から、STAP細胞事件を再び蒸し返すような報道が目につき始めた。

 まず、米テキサス医科大学のKinga Vojnits等が2015年11月27日、『ネイチャー』と同じ出版社が発行する『Scientific Reports』に、「Characterization of an Injury Induced Population of Muscle-Derived Stem Cell-Like Cells(損傷によって誘導された筋肉由来幹細胞様細胞群の特性評価)」(Scientific Reports 5, Article number: 17355 (2015))という論文を発表した。

 また、ドイツのハイデルベルク大学のJee Young Kim等が2016年4月、『Biochemical and Biophysical Research Communications(BBRC)』に、「Modified STAP conditions facilitate bivalent fate decision between pluripotency and apoptosis in Jurkat T-lymphocytes」(BBRC, Volume 472, Issue 4, 15 April 2016, Pages 585–591)という論文を発表した。

 さらに、米ハーバード大学附属ブリガムアンドウィメンズホスピタルが、STAP細胞の作成方法に関する特許を、日本、米国、EPO(欧州特許庁)、カナダ、オーストラリアなど世界各地で出願していることが報道された(日本では「特願2015-509109」)。これについて5月9日、弁理士でITコンサルタントの栗原潔氏は、同大学が日本国内でも特許出願し、4月22日に審査請求を行ったことを明らかにした(ビジネスジャーナル2016年5月21日)。

 このような動きがあるにもかかわらず、マスメディアは無関心であり、世間の反応も冷ややかだ。2014~15年にかけてSTAP細胞関連記事が連日掲載され、狂騒状態を呈していたWEBRONZAにおいても、誰も上記の動きを取り上げようとしない。これは、極めて不自然なことではないか。

STAP関連記事を三つの時期に分類

 ここで、WEBRONZAでは、STAP細胞関係の記事がどれだけ書かれていたかを調べてみた。本サイトにおいて、

・・・ログインして読む
(残り:約2002文字/本文:約3114文字)


筆者

湯之上隆

湯之上隆(ゆのがみ・たかし) コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

1987年京大修士卒、工学博士。日立などで半導体技術者を16年経験した後、同志社大学で半導体産業の社会科学研究に取り組む。現在は微細加工研究所の所長としてコンサルタント、講演、各種雑誌への寄稿を続ける。著書に『日本半導体敗戦』(光文社)、『電機・半導体大崩壊の教訓』(日本文芸社)、『日本型モノづくりの敗北-零戦・半導体・テレビ-』(文書新書)。趣味はSCUBA Diving(インストラクター)とヨガ。 【2016年8月WEBRONZA退任】

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

湯之上隆の記事

もっと見る