グローバル化が否応なく押し寄せる中で、大学がとるべき道は--
2016年08月03日
英国の高等教育専門週刊誌『タイムズ・ハイアー・エデュケーション(THE)』は2004年から毎年世界大学ランキングを公表している。最初に世界大学ランキングを公表したのは上海交通大学で、2003年のことだったが、現在、世界にもっとも影響を与えているのはTHEランキングだろう。THEは2014年に科学・技術・医学の情報企業エルゼビアと業務提携し、論文や特許などのデータ分析という従来の手法に加え、研究者からの評判も入れたランキングを作るようになった。
分科会のタイトルは「ランキング再来:大学ランキングの使い方と間違った使い方」。大学ランキング研究の第一人者というダブリン工科大のエレン・ヘイゼルコーン教授、エルゼビアのリサ・カレッジさん、現在のランキングの欠点を改善しようと英国の8つの大学とエルゼビアが共同で評価指標を作った「スノーボール」プロジェクトの責任者のジョン・グリーン・ケンブリッジ大学教授、そしてジレ教授が登壇した。
スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)は、THEの「設立50年以下の新設大学ランキング」で2015,16年と連続して世界1位になった。全体のランキングでは31位に位置する。上海交通大学の最新ランキングでは103位になっている。
世界大学ランキングの問題点の一つとしてよく指摘されるのは、上位に並ぶのは老舗大学ばかりで、新興大学が順位を上げるのは極めて難しいという点だ。ジレ教授の講演タイトルは「新参者はどうすれば自分たちの学術価値を失わずにトップリーグに入れるか?」。つまり、EPFLは新参者(1969年創設。新設大学扱いは2019年までということになる)にもかかわらず、トップリーグに入ることに成功した例というわけだ。
講演によると、同校は2000年、つまり世界ランキングが公表される前に改革計画を作り、世界クラスの大学になる目標を掲げた。「ランキングの津波」(と教授は表現した)が来る前に、次のような改革がなされた。
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