海外若手ポスドクが日本の大学を救えるか
2016年10月24日
「グローバル化」の潮流が世界に広がる中で、日本の高等教育も「世界大学ランキング」という格付けを突きつけられている(その歴史や概要を以前の記事「大学ランキングをめぐる世界狂騒曲<上>、<下>」で伝えた)。文科省はランキングの向上を図るべく、「世界大学ランキングトップ100を目指す力のある」大学13校に総額500億円の資金援助を平成26年度から始めた(10年間)。いわゆるスーパーグローバル(SGU)事業である。
私はドイツに1年前に移住し、EUというグローバル化の実験域に住み、EUの試みや現実を知るほどに「果たしてグローバル化は人類を幸せに導いてくれるのだろうか」と疑問を持つようになった。が、いったん走り出した世界的な動きは、私の疑問をよそにどんどん先に進んでいく。それなら、少しでも日本の大学のグルーバル化が望ましい方向に発展してほしいと願い、筆をとっている。
世界大学ランキングを上げようとすれば、英語母国語かバイリンガルな国でないと難しいことは明白だ。上位は米国・英国などアングロサクソンの大学が占めている。ドイツはほぼバイリンガルといえるほど、学生たちの英語能力は優れている。実際に彼らを指導してみて驚いた。日本の大学では学生の英語力は貧弱で、留学生が話しかけると日本人学生が逃げてしまう。
これは英語力や会話が苦手という問題もあるが、それ以前に論理的で幅広い会話力が訓練されていないことが大きい。大学も含め日本の教育は「受け身で知識・記憶偏重」。会話を通して学ぶ能力は育成されていない。グローバル化を目指す中で、この国の教育理念が世界標準から大きくずれていることが明白になりつつある。時間をかけて初等教育から変えていくしかない。
日本の大学が「評判」や「引用」の点数を上げるには、大学人が国際的人脈を広く持ち、国際共同研究を常に実施し、世界で新しい情報発信をし続けることが求められる。
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