ロゼッタのユニークな着陸フィナーレを見て、国民に支持される宇宙ミッションを考える
2016年10月21日
2年前からチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の観測を続けてきた欧州宇宙機関(ESA)のロゼッタ探査計画が9月30日に終了した。探査機は彗星に着陸し電源を完全に落とした。もう復活することはない。
ロゼッタ探査計画は、欧州では宇宙関係者だけでなく、広く一般人にも馴染まれ、2年前の調査ではドイツ人の4分の3が、フランス、イギリス、イタリアでも7割の人が知っていた。この数字は過去の欧州の宇宙計画の中では特に高く、日本における「はやぶさ」の知名度の高さを思い起こさせる。
知名度の高さは、国民の支持のバロメータでもある。宇宙ミッションが税金で賄われている以上、これは重要なことだが、同時にポピュリズムの弊も危惧されよう。本稿ではそれらを考察したい。
同じ事情は、日本の小惑星探査機「はやぶさ」にも通ずる。小惑星表面からのサンプル採取・帰還という、太陽系探査の一里塚を、NASAが計画する前に実現したのだから、日本人が喜ぶのは当然だ。はやぶさの評判は海外でも高い。
そのインパクトは、日本政府があっという間に「はやぶさ2」を決めたほど大きかった。他の探査機や科学衛星の順番を政府主導で飛び越した異例の展開に「全然日本的でない」とびっくりしたものだ。当時、頭越しの割り込みに戸惑ったが、結果的に「はやぶさ2」がNASAによる同様の探査機の2年も前に打ち上がったのだから、非常に納得できる流れである。
今では、より難しいとされる火星の衛星「フォボス」からのサンプル採取・帰還(MMX)を宇宙科学研究所が2024年打ち上げに向けて進めている。「世界初の一里塚」的技術とは、そのくらいに国民の支持を受け、関係者の想像以上に技術開発が急速に進む。
ただ、「国民の人気」によって長期計画が左右されることに「それでいいのか?」という疑問も出るだろう。私も多少の不安は持っている。というのも、
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