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地球の空気はなぜ美味しい?

帰還した宇宙飛行士が感じる「二酸化炭素の濃度」

油井亀美也 宇宙飛行士

 10月30日に国際宇宙ステーション(ISS)から、宇宙飛行士の大西卓哉さんが地上に帰還しました。その際に話した言葉の1つが「空気が美味しい」でした。今回は、宇宙飛行士が感じる地球の空気の美味しさについて書きたいと思います。

 皆さんも、都会から離れて山に登ったり海に行ったりした時、空気が澄んでいて美味しいと感じた経験があるのではないでしょうか。それでは、宇宙船の中の空気はほこりっぽくて、地球の空気にはほこりが少ないのでしょうか? ISSの中の空気は、常に循環していてほこりや匂いをフィルターで取り除いているため、地上のクリーンルームに相当するほどにきれいと聞きました。

空気の味の正体は・・・

帰還帰還直後の油井宇宙飛行士。「大西さんの帰還後の最初のコメントの1つは『空気が美味しい」でしたね。私もそう感じました』と油井さんは話す(JAXA/NASA提供)
 実は、宇宙飛行士が感じる空気の美味しさ(あるいは不味さ)は、二酸化炭素の量なのです。我々が呼吸することによって生ずる二酸化炭素は、地上では植物が行う光合成によって使用されますね。ISSやソユーズでは、それに相当するほどの植物はありませんから、二酸化炭素を取り除くカートリッジなどを使用しています。ISSでは、取り除いた二酸化炭素と水の電気分解によって生じる水素を使って、再度水を作っています(電気分解で生じた酸素は、我々が呼吸で使用します)。

 この様に空気も人工的にリサイクルして使用しているのですが、地球上の二酸化炭素のレベルまで取り除くのは難しく、ISSの空気は地上の空気の約10倍、時にはそれ以上の

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