日本環境会議が明らかにしたこと
2016年11月09日
3日間にわたる日本環境会議が10月21日から23日までの3日間、沖縄国際大学で開かれた。12年前の2004年8月13日にヘリ墜落事件が起きたあの大学であり、「世界一危険」とされる普天間飛行場に隣接する大学だ。
沖縄大会の全体テーマは、「環境・平和・自治・人権―沖縄から未来を拓く」である。沖縄は、環境・平和・自治・人権の問題が日本で最も先鋭的に問われている場所の一つであり、その沖縄から問題提起をしていこうというのが大会開催の趣旨である。
とりわけ秋乃隊員の専門のチョウたちの可憐な姿が輝いていた。そこに突然、オスプレイが特有の轟音を響かせて画面いっぱいに迫ってくる。その轟音に肝を潰して逃げ惑うノグチゲラの雛鳥。やんばるの固有種で絶滅危惧種だ。地球上に千羽もいないとされる彼らの悲鳴が聞こえてくるようだ。高江集落を取り囲むように建設が強行されているオスプレイパッドがいかに許しがたい環境破壊であるのかを雄弁に物語る画像であり、語りであった。
あと一つ「環境」に関して取り上げておきたいことは、沖縄の現状を踏まえつつ、環境民主主義についての議論が本格的に展開されたということである。事業者の沖縄防衛局が辺野古や高江について実施した環境アセスメントが、いかにアセスとは呼べない代物であり、このようなアセスがアセスとして通用している状況は、日本社会の維持可能な発展を図る上で大きな障害となるという報告が、筆者も含め何人かの沖縄からの参加者によってなされた。
しかし国の環境行政の現状は、「百年河清を待つ」に近い。この点に関して、沖縄県は環境民主主義の観点に立った環境権条例を国を待つことなく先駆的に制定すべきだとの主張を日本環境会議名誉理事長の宮本憲一氏が行ったのは注目に値する。
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