「輸入又は国産」という究極のあいまい表示
2016年12月01日
ソーセージ、みそ、カップ麺などすべての加工食品は表示すべき項目が義務付けられている。名称、原材料、内容量、賞味期限、保存方法、製造者などである。原材料については原産地により品質に差がある緑茶、こんにゃくなど22食品群と、安価な中国産が国産品を圧迫した経緯があるうなぎのかば焼きなど4品目だけに原産地表示を義務付けているが、それは全体の1割強である。
そもそも原産地がどこであろうと食品の安全は食品衛生法で厳しく守られているので表示の必然性は低い。だが、国産品を選びたい、特定の国の食品は嫌だという声と、国産品の消費拡大という政策上の理由から、表示の拡大が検討されてきた。
しかし加工食品の製造事業者にとって、それは困難だった。商品を通年で供給するために原産地を頻繁に変えるのだが、そのたびに表示の変更が必要になる。間違いがあれば謝罪・回収・廃棄という損失が発生する。海外では必然性がない原料原産地情報を記載する習慣がないため、情報の入手が難しいなどの理由である。
ところが農水省・消費者庁共催の「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」(以下「検討会」)は、一部の委員の強い反対を押し切って「すべての加工食品の原料原産地表示」を不可解な形で実施することを決めた。
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