島ならではの難しさを抱える沖縄のゴミ問題
2017年02月23日
しかし、今回は、米軍起源の環境問題ではなく、沖縄のゴミ問題について報ずることとする。
沖縄のゴミ問題は、一言で言えば、島ならではの難しさを抱えているということである。それを端的に示すのが図1である。全国の自治体でのリサイクル率に比べ、沖縄におけるリサイクル率は常に5ポイント下回っている。
本土の自治体であればコスト的にリサイクルが引き合う品目であっても、沖縄ではロットがまとまらず、かつ本土のリサイクル企業までの輸送費が壁となって、リサイクルされないのである。県内離島では、さらに事情が厳しい。多くの消費財は、段ボールなどに過剰に包装されて入ってくるにもかかわらず、それが資源として島から出ていかないからだ。
その一例が家電リサイクル法だ。一般家庭や事務所から排出された家電製品(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機)から、有用な部分や材料をリサイクルし、廃棄物を減量するとともに、資源の有効利用を推進するための法律である。
問題は、この法律ではリサイクル料金が前払いでなく、買い替えなどで不要になった時に、小売店にリサイクル料金を支払って引き取ってもらう仕組みになっていることだ。例えば大型冷蔵庫の場合、リサイクル料金は4644円である。
排出者から不要冷蔵庫を引き取った小売店は、製造業者などに引き渡すこととなるが、離島のそのまた離島の場合、輸送のための運賃が馬鹿にならない。当然、なにがしかのプラスアルファの負担を排出者に求めることとなるが、これが不法投棄の促進要因となる。不法投棄された家電製品は、島の自然環境や美観を大いに損なうが、その撤去にはリサイクル料金を大きく上回る費用がかかることになる。島では、リサイクル法が不法投棄促進法となっている側面があるのである。
沖縄県の中でも、ゴミ問題がとりわけ深刻なのは離島自治体である。
小さな島では最終処分場の整備が困難で、ごみを近隣自治体と共同で処理し、住民負担を減らすのも難しい。専門家の確保も厳しく、施設導入時に行政や議会、住民だけで的確な判断が下せるのかも疑問が残る。
適切な判断ができず、役にも立たないゴミ焼却炉を売りつけられる、という離島自治体の悲哀が随所に見られる。ごみを超高温で溶融処理するため最終処分場がいらない、という「夢の施設」の溶融炉を導入したが、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください