メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

花形の船外活動、陰で重ねる飛行士の努力

【ヒューストン訓練報告1】初飛行までは6年の訓練、「次」に備えて技量維持を図る

油井亀美也 宇宙飛行士

 米ヒューストンにある米航空宇宙局(NASA)の施設で、2月に船外活動(宇宙遊泳)とロボットアームの訓練を2週間行いました。宇宙での活動は、このほかにも各種実験や器材のメンテナンスなどたくさんあり、それらは全て大切なものなのですが、宇宙船の操縦、船外活動、ロボットアームの操作はその中でも非常に重要で目立つことから、飛行士の仕事の中では花形と言われています。そこで、今回から数回に分けて、その花形の訓練の内容や宇宙での活動と訓練との違い、訓練の重要性などについて書いていきます。

 さて、みなさん、訓練はなぜ必要なのでしょう? 私の場合は、宇宙飛行士候補者に選抜され訓練を開始したのが、2009年4月で、初めて宇宙へ行ったのが2015年7月ですから、実に6年間以上も訓練をしていたことになります。ちなみに、私が航空自衛隊で航空機の操縦訓練を開始してから、F-15で実際の任務に就くまで4年間ほど掛かりましたので、それよりも長い期間訓練をしていたことになります。

航空自衛隊時代の油井亀美也宇宙飛行士。「自衛隊も宇宙飛行士も厳しい環境で仕事をするので、 訓練も厳しい」

 単純に比較することは出来ませんが、厳しい環境で仕事をする必要がある場合ほど、安全を保ちつつ仕事を成功させるために長く厳しい訓練が必要な気がします。命を懸ける必要がある厳しい環境で仕事をする際や、大きな期待を背負って何かをやり遂げなければならない場合などは、非常に大きな精神的プレッシャーが掛かります。

 私が、飛行隊代表のパイロットとして、

・・・ログインして読む
(残り:約1714文字/本文:約2317文字)