【ヒューストン訓練報告2】巨大プール訓練で模擬できる宇宙とできない宇宙
2017年04月21日
2月に行った米ヒューストンでの訓練ですが、前回は訓練の重要性について主に書きました。今回は、もう少し具体的な内容と、地上での訓練と実際の宇宙での違いについて説明します。
船外活動の訓練は、NBLという巨大なプールの中で行います。水の中では、浮力がありますから、それを利用し水中で無重力を模擬します。簡単に浮力を使用して無重力を模擬するといいますが、これが非常に大変な作業なのです。訓練を行っている宇宙飛行士が浮力を調整することはできませんので、酸素ボンベを背負ったたくさんのダイバーが私たちの周りにいて、水中で着ている宇宙服(本物そっくりですが水中用のものです)の様々な場所に付いているポケットに、重りを入れたり出したりして浮力と重さを釣り合わせています。
ここまで大規模な施設を使い、多くの人たちが協力してくれることで、宇宙空間を模擬した訓練ができるのですが、これでも完璧ではありません。水の浮力で、宇宙服はふわふわと浮き、無重力の中にいるようですが、宇宙服の中には重力があります。ですから、さかさまになると、肩が宇宙服の中の金属部分に当たって痛いですし、逆立ちした時のように頭に血が上ってしまいます。
また、宇宙空間は無重力かつ真空ですから、慣性の法則のとおり、動き出したものは止まらずに動き続けますが、水の中は大きな抵抗があるので、
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