沖縄の基地をめぐる米軍の開き直りと、日本政府の怠慢さ
2017年05月01日
4月7日付の琉球新報社会面は、「普天間、6日連続深夜飛行」「協定違反ない」「米軍、訓練優先を正当化」と、普天間飛行場周辺での午後10時以降の航空機騒音問題を、大きく報じている。日米両国政府は、1996年、負担軽減策として嘉手納飛行場と普天間飛行場の航空機騒音規制措置を定めたが、この規制措置は実効性ゼロであり、際限のない夜間飛行訓練は人々の安眠を奪っている。
航空機騒音規制措置は、両飛行場周辺での激しい航空機騒音に悩む県民の強い要望により、ようやくなされた合意であったが、県、関係市町村が求めていた午後7時から翌朝午前7時までの間の飛行制限については、午後10時から翌朝午前6時までとされるなど、合意の当初から地域住民の声が反映された措置とはなっていなかった。
昨年12月13日、夜間空中給油訓練中であった普天間飛行場配属のMV22オスプレイが名護市安部沖で墜落したが、翌年1月6日、残骸の回収と墜落原因の究明が終わらないまま給油訓練が再開された。それは、「戦地では夜間の作戦が不可欠」、そのためには「夜間給油の練度維持が不可欠」という軍の論理が、県民や兵士の命よりも優先することを如実に示したものだった。
問題の根底には、1960年の制定以後、一度も改定されていない屈辱的な日米地位協定がある。イタリアでは米軍の活動はイタリア軍司令官の管理の下にあり、ドイツでは1993年締結のボン補足協定に基づき、米軍はドイツ政府の許可の下に活動することになっている。
一方、日本では主権が放棄され、判断するのは米軍基地の現地司令官である。6日連続の深夜飛行について問い合わせを受けた米海兵隊は、琉球新報に「春から夏にかけては日中の明るい時間が長くなる。暗闇の中で実施する必要がある訓練の時間は遅くなる」と回答し、午後10時以降の訓練を正当化したのである。
このように開き直る米軍も問題であるが、開き直れる状況をつくっている日本政府こそが問題である。
だが、「日本環境管理基準」では、2001年10月の改定で「騒音」の章が削除されたままになっている。2016年4月21日に更新され、在日米軍のHPで発表された2016年版においても、「騒音」の章は削除されたままだ。
普天間飛行場に限定し、騒音問題や墜落の危険性について見てみることとする。
普天間飛行場は宜野湾市の中央部に位置し、市面積の約25%を占める。2800mの滑走路があり、墜落事故をくり返すMV22オスプレイや、大型ヘリのCH53などが常駐する。普天間飛行場の海兵隊は、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください