台風・海面上昇・高水温——沖縄が受けるトリプルパンチ
2017年05月19日
トランプ政権が始動して100日以上が経ったが、世界はいまもトランプ・ショックで激しく揺れ続けている。選挙戦中、トランプは「アメリカ第一主義」のもと、軍事・安全保障政策ではNATOや日本・韓国との同盟への懐疑を強く打ち出していた。このため沖縄には、在沖海兵隊の見直しにつながるのではとトランプ政権に期待する向きがないわけではなかった。
しかしこの見込みは完全に外れた。米韓軍事演習に北朝鮮が核・ミサイル開発攻勢で対抗したことから、トランプ政権は軍事を含めたあらゆる可能性を排除せずに制裁を行うと全面的に対峙する姿勢を打ち出したからである。これで朝鮮半島をめぐる軍事的緊張が一挙に高まった。在日米軍基地の7割(専有施設、面積ベース)を抱える沖縄は、北朝鮮のミサイル攻撃の第一の的となることから、嘉手納基地をはじめとする在沖米軍基地では攻撃された場合を想定した反撃訓練を行うなど緊張感が急速に高まっている。
沖縄にとって最大のトランプ・ショックは、その軍事・安全保障政策がもたらすものであるが、この稿では選挙戦中に気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定である「パリ協定」離脱を宣言したトランプの環境政策が沖縄にもたらす影響について見てみることとする。
沖縄は、地球温暖化がもたらす影響を日本で最も深刻に被ることとなる。影響の筆頭は台風だ。沖縄は台風常襲県であり、民家もコンクリート造が基本となっている。その台風の脅威が、地球温暖化によって3倍増になると予測されるからだ。
第二には、温暖化による海面の上昇である。海面上昇は水の体積膨張が主たる原因となって起きるが、平均3000メートルの海がすべて1度温まれば、60センチメートルの海面上昇が起きる。那覇の年間平均潮位は、ここ40年間で11.8センチメートル上昇している。
沖縄にとっては、まさにトリプルパンチである。この事態に将来世代は対応できるだろうか。外洋に面した堤防の場合、
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