乱獲を防止し、持続可能な漁業にするための認証制度を日本にも
2017年06月02日
対照的に日本ではMSC認証は3件(北海道のホタテ漁、京都のアカガレイ漁、塩釜・明豊漁業のカツオ・ビンナガ一本釣り漁)、ASCは1件(南三陸戸倉のカキ養殖)の認証取得にとどまる。日本の多くのスーパー、デパートが、持続可能性を重視した水産物調達原則を持っていないことが普及の大きな障壁となっている。
しかしながら、東京五輪招致を契機に国内でも国際認証に大きな注目が集まった。ロンドン以来、オリンピックではMSCやASCが調達の条件として採用されてきたからである。また、この4月にはスーパー最大手のイオンが100%MSC・ASC政策を宣言し、認証普及に大きな弾みを付けた。欧米から遅れること10年、ついに日本も持続可能な水産物マーケットの黎明期を迎えたと言える。
ところが、この春採択された東京五輪の水産物調達の規定では、認証取得を要求しなかった。「資源管理計画」(天然)または「漁場改善計画」(養殖)があればよしとしたのである。これらの計画は漁業者が自主的に作成した上で行政が承認するものであるが、科学的根拠を欠く不適切なものが非常に多い。自民党行政改革推進本部では、1449件の資源管理計画に対し、資源状態の評価基準としては不十分な漁獲量や魚価などを用いた計画が8割近くにも及ぶとの厳しい指摘が出た。
両計画を認めることで国産水産物の9割が調達可能となったが、日本の水産物の9割が持続的であるとは誰も思っていない。沿岸資源の実に半数が低位状態にあり、資源の枯渇に漁業者は悲鳴を上げている。この状況を打開するため、この春、政治主導で策定された新水産基本計画で資源管理の抜本的強化の方針が示された。
にもかかわらず、東京五輪の調達規定は現状を肯定し、資源管理強化の機運に水を差しかねない状況である。東京五輪のレガシーとして「持続可能性の最大化を図る」とした公約にも反する。せめて
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