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ボストンから日本を変えたい!

日本人研究者交流会の17年の実績と心意気

北原秀治 東京女子医科大学特任准教授(先端工学外科学)

 ボストン日本人研究者交流会(BJRF)の2016年—2017年度セメスターが2017年5月20日に終了した。この会は、ボストンに本部を置く日本人による研究者のコミュニティとして2000年に発足した。北米最大にして世界最大の、地域における日本人研究者の集まりで、そのメーリングリストへの登録者数は2000人以上、年に8回程度の講演会と1回のボストン界隈で活躍する著名な日本人による基調講演を実施している。さらに、最近ではそのOB達で組織する日本支部も誕生し、盛んに垣根を超えた交流を行なっている。

BJRF講演風景=筆者撮影(以下同)

 ボストン日本人研究者交流会の使命とは 「ボストン周辺に住んでいる日本語話者の研究者や学生、社会人や医療関係者、ビジネスマンから芸術家まで、幅広い分野の人が集い、Intellectual(知的)な議論を交わし、お互いの知識を交換して、ネットワークを構築する」であり、「間口は広く、敷居は低く」を方針とし、どの発表も、専門外の人でも楽しく知識を吸収できるような、分かり易く、面白いものとなっている(BJRFホームページより)。筆者は幸運にもこの会の運営に2年以上関わらせていただき、さらに、それらの研究者コミュニティを束ねる「海外日本人研究者ネットワーク」の運営にも携わっており、世界における地域の日本人研究者コミュニティの重要性について深く考えるところがあった。

日本人は海外で集団を作らず、地域に溶け込もうとする 

 グローバル化が進み、インターネットが急速に世界を縮める中、失われつつある日本のプレゼンスを上げるためには、多様なバックグラウンドを持った人たちによって構成される日本人同士のネットワーク(コミュニティ)が必要不可欠であると、特に海外に身をおくと強く感じる。日本人は、海外においてはなるべく集団を作らず、地域に溶け込もうとする人種であると、日本研究をしているあるアメリカ人が言っていた。また、そこが世界中にチャイナタウンやコリアンタウンを持っている中国人や韓国人とは違うところであり、プレゼンスが下がっている原因の一つだと言う。

 自然科学系研究者の場合、

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