農作物を食べる「加害群」は子だくさん、山奥深くの「非加害群」は子が少ない
2017年08月30日
神奈川県の場合、県内のサルを3つの地域個体群に分けている(図)。群れごとの個体数と加害レベル、行動域を毎年監視し、群れごとの出産率も推定している。群れごとの目標頭数を定め、加害レベルに応じた対処方針を定めたなど、きわめて先進的な管理計画を実施していた。
サルでは、加害群といえども遺伝的に差異のある集団、すなわち「進化的に重要な単位(ESU=Evolutionary Significant Unit)」を残そうという意見がある。ニホンザルの個体群は大まかに岡山県および四国以西の西日本とそれ以外の東日本に分けられ 、精査すればさらに細分した個体群ごとに遺伝的差異が認められる。しかし、統計的に有意な遺伝的差異が認められたものをすべて保存する必要があるとは限らない。地域個体群の消滅と分裂はある程度自然に起きることであり、人間の影響で消滅の頻度が高すぎることが生物多様性上問題となっている。どこまでESUを細かく捉え、保護の対象とするかは、科学者が決めることではなく、被害の程度も考慮して、社会合意に委ねるべきだろう。
神奈川県の悩みは、
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