世界で唯一の群生地を守り続けたい
2017年09月06日
マリモは、アオミドロなどと近縁な淡水生の緑藻類である。多くは細長い糸のような姿(糸状体)で、湖底に付着したり水中に浮遊したりして生活している。その存在は阿寒湖で見つかる前から知られており、「分類学の祖」であるカール・フォン・リンネが1753年に学名をつけて発表した。北海道や本州という日本国内のみならず、ヨーロッパや北アメリカなど北半球の広い地域で見つかっており、おそらくマリモを食べるハクチョウなどの水鳥が各地に運んで広がったと考えられている。
阿寒湖の球状マリモは120年前の1897年8月23日、札幌農学校(当時)の学生だった川上瀧彌によって発見された。マリモの糸状体が密に集合して形成される球状マリモは、大きいものでは直径30cm以上にもなる。以前は海外にもいくつか球状マリモの群生地が知られていたが、最近になって水質の悪化などが原因でアイスランドのミーバントン湖でも群生が見られなくなってしまい、今なお群生が見られるのは世界で阿寒湖だけになってしまった。
ではなぜ、マリモは丸くなるのだろうか。18世紀以来200年以上の歳月の中で多くの科学者がその謎に挑んだが、湖底での観察が難しいこともあって、はっきりしたことはなかなか分かってこなかった。
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