サクラやウメ、モモを枯らす外来昆虫に監視の目を
2017年10月06日
原産地はアジア大陸の中国からロシア沿海州にかけての地域だ。日本では2012年に愛知県で初めて確認された。翌年には埼玉県で見つかり、2015年には群馬県、東京都、大阪府、徳島県で、さらに2016年には栃木県でも見つかった。現在、これら7都府県で桜並木や果樹園、あるいは個人宅の庭木に被害の発生が認められている。被害木を伐採することになって、景観の変わった桜並木、果樹生産に大きな打撃を受けた農家も現れた。
この6月以降、毒針で刺されると人への健康影響が心配される南米原産のヒアリが見つかったというニュースが、外来昆虫関係で次々と伝えられている。発見された場所は港の近くや、そこからコンテナなどが運ばれた先だ。クビアカに被害を受けた木も当初、港湾や工業団地の近くで見つかった。どうやら中国から、輸入木材あるいは梱包用・輸送用の木製パレットに幼虫が潜んだまま運ばれてきて、国内で成虫が羽化、繁殖したようだ。ドイツやイタリア、米国など海外での発生事例でも、そうした侵入ルートが疑われてきた。ヒアリと同様、クビアカの被害拡大によって、私たちは急激なグローバル化の負の側面に苦しめられていると言えよう。
カミキリムシは幼虫が木の幹の中で育ち、被害を及ぼす。在来種でもゴマダラカミキリやスギカミキリなど、果樹園や人工林の害虫として嫌われてきたものがいる。マツノマダラカミキリは松くい虫(マツノザイセンチュウ)を媒介するため、特に駆除対象となってきた。ただ、クビアカは1匹の雌による産卵数がかなり多いのが特徴だ。通常のカミキリムシなら200個も卵を産めばかなり多い部類だそうだが、野外で捕らえたクビアカの雌に470個も卵の入っていた例がある。実験室では1匹の雌が累計1000個以上を産卵した飼育例もある。
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