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宇宙飛行士に与えられる「使命」と「自信」

金井宣茂飛行士のインタビューから見る、「スーパーマン」ぶりから思うこと

油井亀美也 宇宙飛行士

 先日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の金井飛行士が日本へ帰国し、記者会見を行いました。金井飛行士は、2009年に宇宙飛行士候補者に選ばれ、2017年の12月ごろから国際宇宙ステーション(ISS)で長期滞在を開始する予定です。今回の長期滞在は、金井飛行士にとって初めてのミッションとなりますが、海上自衛隊の潜水医であった経歴を生かし、私や大西飛行士とは違った視点で様々な実験を行い、大きな成果を上げてくれると思っています。

 「日本では、どのような活動を行ったのだろう?」とか「潜水医とは何だろう?」といった質問もあるかもしれません。それらの質問に対する答えは、JAXAが公開している金井飛行士長期滞在のホームページや、本人のツイッターやブログに記載されていますので、ぜひご覧ください。

 最近私は自分自身が常に目に見える成果を直ちに出すことにこだわり、なかなか腰を落ち着けてじっくり物事に取り組むことが少なくなってきたことを反省しています。私の前職は自衛官だったのですが、自衛官として最初に任務に就くまでの訓練期間は、非常に長いものでした。1998年に防衛大学校に入校してから教育や訓練を受け続け、F-15戦闘機で初めて対領空侵犯措置の任務に就いたのは、2007年のことでした。国防の一端を担う任務に就くための教育訓練期間は実に10年近くに及んだことになります。

2009年に選抜された3人の飛行士2009年選抜の同期。左から油井亀美也、金井宣茂、大西卓哉飛行士。金井飛行士の飛行で、全員が宇宙ミッションを経験することとなる(JAXA)
 訓練期間中は、将来自分が厳しい環境で実力を発揮できるよう、自分の能力を向上させるために、多くの努力していました。しかし、そのような努力の結果は、自分で実感することは難しく、訓練期間中は厳しい訓練が永遠に続くように思え、本当に自分が戦闘機のパイロットになることが出来るのか確信の持てない期間が長く続きました。F-15のパイロットとして任務を果たしながら、技量の向上に励み、編隊長になるため、テストパイロットになるためなどを目的に、様々な訓練を繰り返しました。

 何かを成し遂げた上で、自分がこれまでしてきたことを振り返ると、

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