エネルギーの地産地消が未来を拓く
2017年11月27日
ボンで開かれていた国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)が11月18日に閉幕した。2年前、COP21では気候変動対策の新たな国際枠組み、パリ協定が締結、昨年末には発効したが、その後事態は急変。米国のトランプ政権は協定離脱を表明し、途上国支援の資金引き上げなど先行きは暗い。
しかし、政府間の国際的な枠組みだけでなく、民間の力、市民の力で世界を変えて行こうという動きもある。日本ではCOP23のさなか、11月13日に、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の13番、Climate Action(気候変動対策行動)に呼応する動きが始まった。国内では初の自然エネルギー100%大学への宣言が行われ、行動計画も示された。
この宣言は、当日、Climate Action Network (CAN)の日本拠点、CAN-Japanが設けたプラットフォームに国内大学初として登録され、世界に公表された。CANは気候変動対策行動を行う、世界120カ国以上の1,100を超えるNGOからなる国際ネットワークである。
筆者は千葉商科大学の学長としてこの決定をしたが、ここに至るまでに周到な準備を行ってきた。まず、2013年、本学がメガソーラーを導入した年に、このテーマで6回にわたる連続公開講座を開き学内世論をも喚起し、2014年からは政策情報学部のプロジェクトに位置付けて実現可能性の検討を進め、島田晴雄前学長の理解も得た。
その上で今年3月1日、学長に就任以降、4件の学長プロジェクトのひとつとして、RE100を目指している。学長プロジェクトは、1)会計学の新展開、2)CSR研究とその普及啓発、3)安全安心な都市・地域づくり、そして、4)環境・エネルギーである。環境・エネルギーでは、地域分散型エネルギー社会形成の拠点となることを目指す。
「地域分散型エネルギー社会の形成」は、島田晴雄前学長の前の加藤寛学長がその最後の著書でも主張している。加藤先生は2013年1月30日に亡くなられたが、最後の著書は没後の3月に出版された『日本再生最終勧告-原発即ゼロで未来を拓く-』である。
小泉純一郎元首相が、脱原発を宣言した時、多くの人が驚いた。しかし、筆者はそうでもなかった。なぜなら、加藤寛元学長が小泉元首相に脱原発の必要性を説いていたからである。上記の『日本再生最終勧告』に元首相と脱原発との関わりが記されている。
同書によれば、加藤先生は小泉元首相に脱原発が必要なことを原発事故のわずか2ヶ月後に語っていた。2011年5月、日経CNBCが主催したセミナーの鼎談でのことである。加藤先生は、公共選択の理論から見て原発は合理性がないとした。元首相は加藤先生のこの議論に触発され、数年熟考の末、脱原発の活動を始めたというわけである。単なる思いつきなどではない。
加藤先生は、
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