ブログ記事から浮かび上がる「テレビ好き」「律義さ」「数学愛」
2017年12月20日
整数論の超難問「ABC予想」を一人で証明したとされる京都大学数理解析研究所(数理研)の望月新一教授は、あらゆる取材を断っている。ところが、ご本人がブログを書いていることを発見した。2016年11月25日に初投稿して、これまで14本の記事を公開している。望月教授でなければ書けないことがてんこ盛りである。天才数学者の誉れ高い望月教授とは、いったいどんな人なのか。
ブログの名前は「新一の『心の一票』」。2016年12月18日の2回目の投稿でこの名前の由来を説明し、
現在の名称に込められた気持ち・「真意」については
"新一"="新一君"="新ちゃん"
"「心の一票」"="声"="本音"
というような形で理解いただいて結構です
と書いている。何のてらいもない、ストレートな意思表明だ。
さらに同日の3回目の投稿で「自分の身元を隠してもばれるのはどうせ時間の問題であり、身元を隠すことにはあまり意味がないとの結論に達しました」と書いて、次のように書く。
私は数学者であり、私の研究・教育活動については京都大学のサイト内のホームページをご参照下さい。(因みに、「なりすまし」の可能性が気になる読者の方もいるかもしれませんが、いざというときは、上記の(大学のサイト内の)ホームページやそこに記載されているメールアドレスの管理体制と、本ブログの管理体制がリアルタイムで連動していることはいつでも簡単に証明できます。)
つまり、ブログ主が「自分が望月新一であることはいつでも簡単に証明できる」とおっしゃっている。ということで、私はこのブログはご本人が書いていると判断しました。
ここまでの3本で「素直で律義」な性格が感じ取れるが、その後の11本の記事からわかる「人となり」を追ってみよう。
まず驚くのが、案外テレビを見ておられるということだ。2017年1月2日の投稿では「元日は富士山の初日の出を羽鳥慎一さんの新春番組で見ました。ここ数年はこの番組を見ていますが、昔から似たような新春番組を見ています」とある。
1月4日の投稿では、ブログ開設の動機を縷々つづっている。自分に対する間違った情報がネットにあふれていることに対し正しい情報を出しておく必要性を感じたことと、もう少しで48歳になるので「後どの位生きられるか分かりませんし、死ぬ前に何らかの明示的な形で、自分という人間の『足跡』(=数学者としての研究・教育活動以外の側面)の記録を(無性に!)作りたくなりました」という思いだ。なお、ここで明らかにされた自己紹介部分のポイントは以下の通り。
生まれは東京で、
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