2回目の「日米協力ボストン科学フォーラム」は総領事館の参画でパワーアップ
2017年12月29日
「和食」はユネスコの無形文化遺産にも認定され、その知名度はますます世界で広がっている。欧米人の間では「Washoku」よりも「Traditional Japanese cuisine」と言った方が通じることが多いが、料理としての魅力だけでなく、和食と共に生きてきた日本人が世界トップレベルの長寿を達成していることにも世界から注目が集まる。米国ボストンで11月18日に日本学術振興会(JSPS)などの主催で開かれた科学フォーラム「Food Science for the Future: Health, Supply, and Culture.(未来のための食品科学:健康、供給、文化)」は、日本が独自に培ってきた食文化及び食の安全、そしてそれに関わる農業を含めた各分野の技術が、今、世界が直面しているさまざまな問題点(例えば食糧危機など)をどのように解決できるかを議論する場となった。
このフォーラムは、「The Japan-US Science Forum in Boston (日米協力ボストン科学フォーラム)」の第2回である。第1回は2016年11月12日にアメリカのハーバード大学で「Changing the World through Japan’s Scientific Endeavors(日本の科学技術が世界を救う)」をテーマに開かれた。ボストン在住の日本人研究者たちと日本学術振興会によって、いわば手作りで企画され、実行されたもので、目的は「日本人研究者と在米研究者の分野を超えた交流」「科学における日米協力の推進」「アカデミアとビジネスの交流」そして「最近低下傾向にある世界における日本のプレゼンスをサイエンスで向上させること」だった。
今回は在ボストン日本国総領事館も全面協力で参加し、在ボストン日本国総領事である道井緑一郎氏も講演者候補の選別や、プログラム策定、そしてフォーラム後の総領事公邸での懇談会など、大いに協力してくれた。そのおかげで、ハーバード大学の日本文化研究所である「エドウィン・オー・ライシャワー日本研究所」も後援になり、マサチューセッツ工科大学メディアラボの石井裕副所長らも参加し、関係者が総集結して日本のサイエンスを世界にアピールするフォーラムとなった。そこでテーマにしたのが「食」だった。
日本の米(コメ)文化、そして米を作る技術、環境は最も大切な資源であると、フォーラムのトップバッターを飾った招待講演者、キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁氏(Webronza経済、雇用ジャンルのレギュラー筆者)は熱弁した。トウモロコシや小麦などを作るいわゆる畑作農業とは対照的に、日本古来の水田技術は、次第に生育不良となっていく連作障害(同じ場所に同じものを栽培すると、土壌の栄養などが徐々に不足し、生育が悪くなる)や土壌浸食(土壌が降雨や融雪・融氷、あるいは風の作用によって流失、または飛散する現象)、そして土壌の塩類集積に影響されないという。日本人、そして日本文化は3000年以上にわたって水田で米を生産してきたわけだ。
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