IUCN、奄美・琉球の世界自然遺産「登録延期」を勧告
2018年05月11日
ユネスコの諮問機関の国際自然保護連合(IUCN)は、5月4日未明(日本時間)、日本政府が世界自然遺産に推薦した「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」に対し、内容の抜本的見直しを求める「登録延期」を勧告した。昨年4月、WEBRONZA上で筆者が「返還されない北部訓練場の自然の価値」との表題で指摘した危惧が的中することとなった。IUCNの「登録延期」勧告の背景は早晩明らかになるであろうが、最大の要因が米軍北部訓練場(キャンプ・ゴンザルベス)の存在であることは間違いない。
世界自然遺産に記載するには自然美(基準7)、地形・地質(同8)、生態系(同9)、生物多様性(同10)の四つの基準があり、日本政府は、奄美・琉球はこのうち生態系と生物多様性の二つの基準を満たすとして登録を申請していた。これに対しIUCNは、生物多様性については修正を行えば合致する可能性があるとしつつ、現時点では二つとも記載基準に合致していないと評価した。
修正すれば合致する可能性があるとした生物多様性について、IUCNは、「選定された4島は、本地域の独特で多様な生物多様性の生息域内保全のために最も重要な自然生息地を包含している。(中略)しかし、北部訓練場の返還地も推薦地の価値と完全性を大きく追加するものであり(中略)、北部訓練場返還地の関連地域を加え、推薦の価値を持たない不適切な構成要素を除去すれば、推薦資産は本評価基準に合致する可能性があると考える」としている。
果たしてIUCNの言うように、北部訓練場返還地を加えれば世界自然遺産登録に値するだろうか。問題はそれほど単純ではないように思われる。
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