ロボット等による調査で1~3号機の状況は見えてきたが、困難さも実感した
2018年06月05日
東京電力の福島第一原発を朝日新聞科学医療部の同僚たちと視察した報告を続けよう(前回は5月29日付)。
2号機の格納容器内部調査で撮影された容器底部の画像が、今年1月と4月に東電より公開された。4月の画像は、1月の調査時に撮影したものを鮮明化し、内部の空間の様子がわかるように処理したものだという。4月27日朝刊の朝日新聞記事は「原子炉の真下にあたる容器の底部では、支柱や壁に溶け落ちた核燃料(デブリ)とみられる残骸がこびりつき、床一面に厚さ40~70センチほどの溶融物が降り積もっていた。底部の全体像がわかるのは初めて」と伝えた。
このような映像による格納容器内の状況把握は、今後の廃炉作業に向けて、炉心溶融によって生じたデブリの量や状態を知り、取り出し手法を検討するために実施されている。だが、原子炉建屋内は配管や機器などが縦横に設置された複雑な構造になっている。1970年代に建設された福島第一原発内部の作業スペースは、最近の原発ほどは広く確保されていないとも聞いた。放射線量が高く、容易に人が立ち入れない格納容器内部を、どのように調査してきたのか。今後の取り出し戦略をどのように構築していくのだろうか。
東電にとって、溶け落ちた核燃料の取り出し戦略の構築は大きな課題だ。その課題を少しでもスムーズに進めようと、東電は、震災時の損壊を免れた福島第一原発の5~6号機の運転再開を諦めて廃炉とする代わりに、廃炉研究の実証試験に活用することを検討している。また同原発2~5号機は基本的に同じ構造であるため、特に5号機はロボットが事故機のデブリに接近して調査するイメージを、実物大で疑似体験できる場所ともなっている。私たちも事故で損壊した1~4号機は外観を見るにとどまったが、調査の様子の理解を助けるため、防護服姿になって5号機へと入っていった。そして、現場を思い描きながら説明を聞き、その困難さを改めて実感することになった。
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