経験した所も「空白時間」を考えた地震対策を
2018年06月27日
突き上げるような揺れに、天井が激しく音を立てた。18日午前7時58分ごろに発生した大阪府北部を震源とする地震。その瞬間、私は通勤途中でJR高槻駅にいた。構内が騒然とするなか、スマホから緊急地震速報の警報音が鳴り響いた。
初期微動を感じないままの突然の揺れで、緊急地震速報が間に合わなかったことから、かなり震源は近いと思った。慶長伏見地震を起こした活断層として知られる有馬―高槻断層帯のことが頭をかすめた。ただ、激しい揺れではあったけれど短い時間で、旅行パンフレットのラックが倒れていたが、身の危険を感じるようなことはなかった。天井から垂れ下がった蛍光灯や、配管が断裂したのか天井から激しい水漏れがする様子を写真に撮りながら駅の外に出た。通勤時間帯なのでバスを待つ列は長かったが、まだ、タクシー乗り場は閑散としていた。スマホで地震の情報を集めながら会社に向かった。
この地震では、高槻市は震度6弱だった。災害担当の記者を続けてきて、被災地の取材で多くの余震も経験してきたが、6弱の揺れを体感するのは初めてだった。大阪府内で震度6以上の揺れを観測したのは、詳しい観測が始まった1923年以来、今回の地震が初めてのことで、防災上の弱点を露呈することにもなった。
震度6以上の地震は、どれだけ珍しいのか。
気象庁の震度データベースで検索すると、1923年以降、震度6弱以上を観測した地震は、今回を含めて67回あった。うち震度7は5回。1995年の阪神・淡路大震災での兵庫県、2004年の中越地震での新潟県、2011年の東日本大震災での宮城県、2016年の熊本地震のときには熊本県で2回、観測された。
95年間で67回のうち、阪神大震災以降の23年間が52回、それ以前の72年間で15回だが、近年、大地震が急増したわけではない。阪神大震災で、被害状況の把握が遅れたことから、震度計の増設が進んで観測網が細かくなり、以前だったら観測できなかった局地的な強い揺れを逃さずにキャッチできるようになったからだ。全国に展開される震度計は、阪神大震災当時は、300カ所ほどだったが、現在は約4300カ所。水量を観測するアメダスの約1300カ所の3倍以上だ。
阪神大震災当時、大阪府では気象庁の震度計は大阪市中央区にある大阪管区気象台のみ。ここの揺れは震度4だった。今回の地震でも中央区は震度4。当時と同様の観測網だったら、最大震度は6弱とはならなかった。
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