これから1年半に及ぶ科学探査で何が出てくるか、期待でいっぱい
2018年07月04日
報道では、打ち上げより2年半にわたる32億kmの旅を続け、現在地球から2.8億kmの距離にあるという。これはこれで正しいが、なんだか変だと思う人は健康だ。
より丁寧に言うと、2014年12月3日の打ち上げのあと、「はやぶさ2」は地球から離れず並走して、ちょうど1年後に地球スイングバイをして「リュウグウ」を追う遷移軌道に乗り、それからは前を走る「リュウグウ」に追いつくべくイオンエンジンをふかして約2周分、ようやく20kmの近さにたどり着いたということである。
このときもちろん両者の位置も速度もほぼ同じである。こう説明されて軌道図を眺めていると、今までの3年半の軌道と努力とが見えてくる。そうして32億kmを旅して2.8億kmの先にいることが理解できる。
いよいよ表舞台に立った「はやぶさ2」だ。計画段階からの月日を考えると、ミッショングループの喜びはたいへんなものであろう。
「はやぶさ2」はこれから1年半のランデブー飛行の間にいろいろな科学探査をする。リモートセンシングでの「リュウグウ」全域の調査に加えて、放出されるミニローバー(小型着陸機)による探査、3回のタッチダウンによる試料採取などがあり、最大のハイライトは地下試料採取のための表面爆破である。
私たちは、太陽系原始の名残を保ち、また炭素に富んでいるといういわゆる「C型小惑星」の姿が次第に明らかになるのを知ることだろう。「リュウグウ」は直径が900mほどという。すると表面重力は地球の5000分の1程度となろうか。「リュウグウ」の質量はそのうちに探査機の軌道変化から推定できる。
「はやぶさ2」と地球とは通信電波が伝わるのに
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