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辺野古への土砂投入目前。知事の撤回なるか?

『日本にとって沖縄とは何か』という故・新崎さんの問いにどう答えるのか。

桜井国俊 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

 沖縄県民は、辺野古の海での米海兵隊新基地の建設に反対との民意を繰り返し示してきた。しかし国は、県民の声に全く耳を傾けようとしていない。多くの国民もそれを座視している。

 ジュゴンがすむ辺野古・大浦湾は、防衛局が行った環境影響調査でも生物多様性のホットスポットであることが明らかであり、やんばるの森とともに世界自然遺産登録に値する貴重な自然である。人間居住の適地を基地に占拠され、やむなくなされた埋め立てによってほとんどの自然海岸を失った沖縄にとって、辺野古・大浦湾の海は今や数少ない手つかずの自然であり、後世に残すべき沖縄の宝である。

 日米安保条約に基づき新基地の建設が必要であるのなら、安保条約の利益を享受する本土各県も基地負担を等しく受け入れるべきであって、国土面積の0.6%を占めるに過ぎない沖縄に米軍専用施設の70%を押し付けるのは「構造的沖縄差別」に他ならないというのが、今や多くの県民の共通認識である。

土砂投入目前に

 辺野古の海では、昨年4月25日のK9護岸(下図参照)着工以来、沖縄防衛局は工事の中止と協議を求める沖縄県発出の一連の文書を無視し、連日数百台のダンプトラックで石材を搬入し、護岸造成を強行してきた。

拡大土砂投入の予定海域
 そして2018年8月2日に辺野古側のK4外周護岸がつながり、すでに6月12日に沖縄県に通知されているが、8月17日に外海と仕切られた内部に土砂が投入されることとなっている。

 護岸建設に用いられた石材は、工事が中止されれば撤去が可能で、痛めつけられたとはいえ辺野古・大浦湾の原状回復はまだ可能である。しかしひとたび土砂投入がなされるなら、それは撤去できず、世界の宝ともいうべき辺野古・大浦湾に回復不可能な環境破壊をもたらす。その意味で辺野古・大浦湾の自然を守り後世に残したいという沖縄県民の闘いは、今、引き返し不可能な地点に差し掛かりつつある。

ジュゴンCはどこに

 土砂投入はまだであるが、工事はすでに甚大な環境影響をもたらしている。その筆頭は、ジュゴンへの影響である。

拡大工事に抗議する市民ら=2018年7月、沖縄県名護市辺野古、伊藤和行撮影
 新基地建設工事の差し止めを求めたジュゴン訴訟差し戻し審で、米サンフランシスコ連邦地裁は本年8月1日、 ・・・ログインして読む
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筆者

桜井国俊

桜井国俊(さくらい・くにとし) 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

1943年生まれ。東京大学卒。工学博士。WHO、JICAなどでながらく途上国の環境問題に取り組む。20年以上にわたって、青年海外協力隊の環境隊員の育成にかかわる。2000年から沖縄暮らし。沖縄大学元学長。

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