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風通しが良くなってきたクロマグロの資源管理

環境団体や市民を招いた議論が重要だ

松田裕之 横浜国立大学大学院環境情報研究院教授、Pew海洋保全フェロー

 日米韓など10カ国・地域が太平洋クロマグロ(本マグロ)の資源管理を話し合う「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」の北小委員会が9月3日から福岡で開催される。

7月に韓国で開かれたISC総会の様子。環境団体のメンバーも参加した。

 クロマグロの資源管理については何度か論じたが、私は日本、カナダ、米国、台湾、中国、韓国とメキシコが加盟する「北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)」の会合に今年に入って3回参加した。4月に清水で開催されたカジキ類の作業部会(WG)と7月に韓国麗水市万博会場跡で開催された総会、そして5月30日に横浜で開催されたISC太平洋クロマグロMSE(管理戦略評価)ワークショップである。私個人がISCの会合に参加するのは6年ぶりである。

 6年前に比べて、ずいぶん風通しが良くなったと思う。ISC総会には、WWF(世界自然保護基金)ジャパンと、ワシントンに拠点を置く非政府組織(NGO)ピュー財団が数年前から参加しているという。ピュー財団は日本のクロマグロ政策を厳しく批判している。そんな彼らの前で議論していることが重要だ。さらに、横浜でのMSEワークショップは日英の同時通訳がついていて、市民が参加して議論を傍聴し、さらに発言することができた。これは水産庁の配慮だと思われる。

横浜で開かれたワークショップでの森聡之氏と前ISC議長のジェラルド・ディナード氏=森氏提供

 釣りクラブ「グルーパーボーイズ」会長の茂木陽一氏の報告によると、東京湾ルアー船 KNOT ENOUGH代表の森聡之氏がこの会議の場でクロマグロ産卵場でのまき網漁を日本政府はなぜ許しているのかと質問するなど、市民も積極的に参加した。終了後にISC議長が「良い質問だった」と森氏に話しかけ、その場で「産卵期の産卵場所にそのような船がいること自体、おかしな話だ」などと語ったとのことだ。森氏には現議長だけでなく前議長も話しかけてきて、これからも積極的に質問するようにと励ましてくれたという。

 このような議論の場を水産庁が積極的に用意するようになったことは、大きな変化だと思う。議論は科学者どうし、冷静に進められて、相互信頼が醸成されているように思えた。

 クロマグロ資源回復の目標をめぐる交渉は、2016年のWCPFC会議では日本の提案が生ぬるいなどと紛糾して合意できなかったが、その後、未成魚の加入がかなり多かったことがわかり、2017年に日本も厳しい規制に賛成する形でまとまった。同時に、資源回復が予想と異なるときには漁獲枠を見直すことも合意した。これに基づき水産庁が設定した漁獲枠をめぐってさまざまな問題が生じたことは、WEBRONZA「水産庁マグロ規制の漁獲枠配分に問題あり」(松田、2017年9月11日)で報告した。

 9月3日からの会合のポイントは、

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