30日投開票の知事選を前に、注目された名護・宜野湾・石垣の各市議選の結果は
2018年09月11日
沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設を最大の争点とした県知事選が、9月30日に迫っている。辺野古への新基地建設阻止の立場を最後まで貫き、日米両政府と対峙してきた翁長雄志知事が急逝したもとでの選挙だ。その遺志をどう引き継ぎ、沖縄戦から70年以上続いてきた米軍基地支配にどのように向き合い、そこからどうやって脱却して新しい沖縄を築いていくかが問われる選挙となる。
知事選は、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(自民、公明、維新推薦)と衆院議員の玉城デニー氏の事実上の一騎打ちとなる見込みだ。9月5日、主な立候補予定者である両氏を招いた公開討論会が日本青年会議所(JC)沖縄ブロック協議会の主催で開かれた。JCの主催であり、司会のツッコミの甘さが諸所にみられたが、それでも両者の相違は明らかであった。
玉城氏が指摘する米国の法律とは、米国防総省の統一施設基準書「飛行場・ヘリポートの計画と設計」のことだ。この基準書は航空機の安全な航行を目的として飛行場の周辺空間に高さ制限を設定しているが、辺野古新基地の予定地周辺では、国立沖縄工業高等専門学校の校舎など多くの公共建築物や民家などがこの高さ制限に抵触しているのだ。
この争点の位置づけについても、両候補の考えは対照的であった。佐喜真氏は「普天間飛行場の返還であり、原点は危険性の除去だ」とした。それに対し玉城氏は、現県政が8月31日に実行した「埋立承認の『撤回』の是非だ」と述べた。佐喜真氏は、承認撤回について「これから法的な争いが始まる。日本は法治国家だ。法に基づき判断しないといけない」と評価を避けた。玉城氏は「政府には沖縄と協議する姿勢がない。撤回は法律に基づいた正当な手続きだ」と評価した。
沖縄でカジノ導入に熱心なのは、基地建設にも熱心な土建資本であり、それに対して故翁長知事は、基地建設は沖縄経済の発展を阻害するものであり、基地の返還こそが沖縄経済を発展させることを、那覇新都心開発などを例にとって力説してきた。その翁長知事が反対してきたのがカジノ導入である。このように、両者の主張は対照的であり、故翁長知事の敷いた路線を継承するのか否かで明確に分かれる。
辺野古新基地建設の是非をめぐる今回の沖縄県知事選は、沖縄の未来を決する重要な選挙であり、その結果が全国的にも注目されている。しかし、県民が誰に未来を託すかという結果もさることながら、期日前投票の異常な多さにも注目する必要がある。
今年2月の名護市長選、3月の石垣市長選でも期日前投票が異常に多く、当日の投票者数を上回った。これは中央からの大量の支援、選挙への介入の影響があらわれたものであり、地域のことは地域が決めるという憲法第8章の地方自治の理念を著しく歪めるものではないか。
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