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「プラ『レア』リウム33箇所巡り」の大団円

3年3カ月で46人達成、SNS時代ならでは盛り上がりと広がり

井上毅 明石市立天文科学館館長

 全国の珍しい(レアな)プラネタリウムを巡る「プラレアリウム33箇所巡り」がグランドフィナーレを迎えた。これは、私が館長を務める明石市立天文科学館が開館55周年事業として2015年5月1日にスタートさせたもので、当館が「レア」と選定した全国33箇所のプラネタリウムを3年3カ月以内に巡るという企画だ。2018年7月末に終了し、何と46人もが33箇所巡りを達成した。9月1日には企画終了を記念したグランドフィナーレイベントが当館で開かれ、約60人が参加して全国のプラネタリウムの楽しさを語り合った。みないい笑顔だった。

拡大グランドフィナーレに集まった参加者の記念写真=2018年9月1日、明石市立天文科学館

 私は約20年前に学芸員として採用され、天文科学館でプラネタリウムの投影を担当してきた。館長になった今でも投影を続けている。仕事柄、全国の施設を見学する機会も多いが、プラネタリウムは実に個性的でまちまちで感心する。ドームの大きさ、座席配列、映像装置、設置目的など、全てのプラネタリウムがオンリーワンの存在といえる。

 日本全国では約300のプラネタリウム施設ある。設置されているのは科学館ばかりではない。図書館、児童センター、公民館、ホテル、飲食店など、公的施設から民間施設までプラネタリウムのある施設は意外にバラエティーに富む。その中から、とくに珍しい(レア)なところを33箇所選定したわけだが、なにせ北海道から沖縄まで全国に散らばる。立地条件がレアなものもあるし、冬季休業していたり、予約制だったり、1年に2日間だけ学園祭の時だけ見学可能なプラネタリウムもある。空間的にも時間的にもレアを極めるのは大変で、開始時は実際に全部巡る人はごく少数だと予想していた。

拡大達成者に手渡される缶バッジ

 しかし、この企画は我々の予想を超えて反響があった。2015年夏には早くも33箇所達成者第一号が登場し、驚いた。その後も成果を上げる人が続いた。2016年5月に開催した「参加者の集い」では1年目にして3人が達成者となっていた。2018年7月末の終了時には達成者46人にのぼった。中には2巡したり、勢いあまって135箇所を巡ったりした人もいた。また、22箇所達成は49人、11箇所達成は72人いた。11箇所以上の達成者はのべ167人にものぼった。もらえるのは小さな手作り缶バッチだけだが、達成した人は大いに満足したようだ。

 この企画には国立天文台副台長の渡部潤一先生もご夫婦で参加された。講演会のために明石までいらした際に、私が参加を呼びかけた。「うっかりと始めてしまったのが運の尽き」だとか。各地で講演会をおこなうタイミングを利用して巡っているうちに、施設ごとの魅力に引き込まれ、すっかりはまってしまったという。渡部先生は天文の世界の大スターである。訪問した先々で大歓迎されたようだが、途中からは講演会だけではとても追いつかないことが分かり、多忙な中、プライベートの時間をやりくりして突撃訪問を繰り返し、期間終了直前の2018年7月末に33箇所達成となった。台風接近などで予定が合わない可能性もあり、相当苦労したそうだ。直後にヨーロッパで開催された国際天文学連合の総会において、渡部先生は世界の天文学者の中から、副会長に選出されていたので、おそらく相当多忙な時期だったと思う。遊びのような企画にも本気で取り組む姿勢はさすがの一言である。

拡大33箇所達成の記念バッジを筆者から受け取る渡部潤一・国立天文台副台長(左)

 グランドフィナーレイベントでは、渡部先生の企画の楽しさを語るビデオメッセージが流れたほか、企画立案の立役者である長尾高明・前館長の講演や、33箇所施設の関係者によるリレー特別星空解説などもあり、楽しい一夜となった。

 企画を終えて、なぜ予想以上に多くの参加者があったのか考えてみた。3つの理由があると思う。 ・・・ログインして読む
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筆者

井上毅

井上毅(いのうえ・たけし) 明石市立天文科学館館長

兵庫県姫路市出身、名古屋大学大学院理学研究科修了。旭高原自然活用村協会 旭高原元気村きらめき館天文台を経て1997年から明石市立天文科学館学芸員、2017年から現職。プラネタリウムの投影、展示やイベントの企画制作、時や宇宙に関する調査研究など。日本公開天文台協会 事務局長、世界天文年2009日本委員会企画委員、金環日食限界線研究会代表。ブラック星博士のマネージャー。天文雑誌星ナビ連載中。天文普及の貢献により、小惑星10616はInouetakeshiと命名されている。