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青年海外協力隊員の「外から見る目」は貴重な財産

スゴイ? バカにされてる? 求められる「内向きの日本」の軌道修正

桜井国俊 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

 情報が何でも手に入る現代のこのご時世、我々は外に出かけなくても世界の実情に通じていると勘違いしていることが多いようだ。「島国ニッポン」に暮らす我々は、ますます「井の中のかわず」と化しつつある。

 確かに海外旅行にでかける人は年々増加しているが、海外の人々、とりわけ世界の圧倒的多数を占める途上国の人々の中で暮らし、一緒に汗を流して喜怒哀楽を共にした経験を有する人は決して多くはない。これがもたらす弊害を痛感することが、昨今少なくない。

日本すごいブーム

 最近テレビ・雑誌を見ていて首をかしげるのが、日本の伝統や制度、技術などをとにかく褒めたたえる番組の横行だ。ここまでナルシスト番組がはびこるのは、自信のなさの裏返しではなかろうか。

 そんな中で、先月、「世界でバカにされる日本人」という刺激的なタイトルの本が出版され、「日本人はすごい」は幻想だと斬って捨てた。「井の中のかわず」と化しつつあるニッポン人に対する重大な警告と言えるだろう。

青年海外協力隊の意義

 筆者は、環境分野の青年海外協力隊員の育成にこの25年間かかわってきた。1965年に発足した協力隊は今年で53年となるので、その半分近い期間、隊員育成にかかわってきたことになる。

 彼らと接するたびに思うのだが、「島国ニッポン」を外から見る貴重な2年間を経験するこの若者たちは、日本社会が草の根から国際化する上で極めて重要な存在である。

フィジーに派遣中の青年海外協力隊員。左から千葉さん、杉田さん、筆者、平岩さんフィジーに派遣中の青年海外協力隊員。左から千葉さん、杉田さん、筆者、平岩さん

 青年海外協力隊は、独立行政法人国際協力機構(JICA)が派遣する海外ボランティアで、日本国籍を有する20歳から39歳までの若者が2年間途上国に派遣される。募集されている分野は120種類にも及び、主なものとしては農林水産、人的資源、保健・医療などがあり、筆者が育成にかかわっている環境教育はその一つである。

 途上国での生活は日本での生活とは大違いで、インターネットも満足に機能しない国もあれば、電圧が一定せずパソコンなどの機器のトラブルが頻発する国も少なくなく、予想外のトラブルが日常茶飯事で発生する。そんな中で、考え方が自分とは全く異なる現地の人たちとうまく協力してやっていかなくてはならない。文化・習慣が異なる国での生活は好奇心を強く刺激するその一方で、カルチャーショックで落ち込んでしまうことも少なくない。

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