IPCCは世界に何を伝えたかったのか
2018年10月19日
国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は10月8日、1.5度特別報告書を公表した。「1.5度温暖化すると、どんな世界になるのか」「それはいつ訪れるのか」という問いに対する、科学からの答えである。
地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」は、産業革命以降の気温上昇を2度未満にすることを決めるとともに、1.5度未満を努力目標にしている。
2015年12月に開かれた国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定に、「1.5度」が盛り込まれた時、少なからず驚いたのを覚えている。「2度だって無理そうなのに、努力目標とはいえ1.5度を掲げる意味があるのか」。2度目標の達成自体、今世紀後半に化石燃料から離脱することが前提だ。化石燃料に頼った生活を送っている現在、石油や石炭、天然ガスのない世界をイメージすることは難しい。
1.5度をパリ協定に盛り込むように主張したのは、島国でつくる小島嶼国連合(AOSIS)だ。自分たちで出した温室効果ガスは少ないのに、温暖化の影響を最も強く受ける。当然の要求だと思うが、実現可能性は別だ。ただ、国連での合意は全会一致が原則なので、AOSISにも納得してもらわなければならない。私は「協定を成立させるためには、AOSISの顔を立てる必要があったのだろう」ぐらいに思っていた。
パリ協定採択後、条約事務局は1.5度についての検討をIPCCに委託した。その時から、結論はある程度予想できた。1.5度に抑えれば温暖化のリスクは2度より軽減される。だが、1.5度を達成するのは2度を達成するよりさらに難しい。誰が考えても、そんなものになるはずだ。
発表された報告書も、ごくおおざっぱに言えば、この線に沿った内容だ。その意味では予想の範囲内と言ってもいいかもしれない。だが、そのトーンは、
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