数値データから見えてくる「怪しさ」
2018年11月06日
まず、日本は女性医師の割合が国際的に見て際立って低いことを厚生労働省の資料で見ておこう。左のグラフをご覧いただけばわかるように日本は最下位、OECD諸国の単純平均が40%超なのに、日本は20%にも届かない。このグラフを見るだけで、「女性は能力が足りない」とか「医者に向かない」といった見解が的外れであることが理解できよう。
次に見ていただきたいのが、同じ厚生労働省の資料にある「医学部入学者・国家試験合格者数に占める女性の割合」である(下の左図)。入学して6年後に医師国家試験を受けるわけだから、二つの折れ線グラフは6年ずれるだけでよく似た形になっている。直線的に増えてきた女性比率が、35%に達したところでどちらも頭打ちである。だが、世界には女性医師の割合が35%を超える国がいくらでもあるのだから、自然にしていて女性の割合が35%で止まるはずがない。「何らかの人為操作」を強く推測させるグラフである。これは、日本学術会議が10月26日に開いた公開シンポジウム「医療界における男女共同参画の推進と課題」で提示された。
続いて、学部別の合格率男女比をご覧いただこう(上の右図)。女性の合格率を男性の合格率で割った値で、産婦人科医で日本女性医療者連合の理事を務める種部恭子さんがこのシンポジウムで示した。合格率は、男でも女でも変わらないのが普通だと考えられるから、値は「1.0」になるはずだが、たとえば受験生の平均的な成績が男女で異なれば合格率も男女で異なってくるだろう。だから、1.0より高いことも低いこともありうる。しかし、こうして各学部を並べて見たとき、医学部だけが異様に低い。これも「何らかの人為操作」を疑わせる。
さて、ここで文科省が9月4日に発表した全国80大学の医学部医学科の合格率男女比を見ていただこう。女性しか入学できない東京女子医大を除いた全医学科のデータである。数が多くて学校名が読めないほど小さくなってしまうのをお許しいただきたい。こちらは先ほどとは逆に男子合格率を女子合格率で割っている。だから、数値が大きいほど男子が受かりやすく女子が受かりにくいことを示す。最大は順天堂大で1.67である。順天堂大は第三者委員会を設置して事実関係を調査しているところだ。黄色く囲ってあるのが東京医大である。赤は1.0の線だ。
このデータをもとに比を0.05刻みで分けて、たとえば合格率男女比が1から1.05の間にある大学は何校かを次に示してみた。
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