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はやぶさ2が持ち帰る「リュウグウの玉手箱」

玉手箱をあけるため予算がつかないなんておかしいゾ

高橋淑子 京都大学教授(動物発生学)

 宇宙探査機はやぶさ2が、来月にも小惑星「リュウグウ」に着陸するらしい(朝日新聞1月9日)。9年前の「あの感動」がよみがえる。幾多の難関を乗り越えて2010年に帰還した「元祖」はやぶさが、小惑星「イトカワ」で採取した砂を入れたカプセルを地球に届けたあと、「あとは頼んだぞ」と言わんばかりに天空に燃え尽きていった、あの瞬間だ。多くの人が、もちろん私も、テレビの前で涙した。

燃え尽きながら地球に帰還する小惑星探査機「はやぶさ」と回収カプセル=2010年6月13日、豪州南部グレンダンボ近郊、東山正宜撮影

 京都大学に、「イトカワの砂」の分析を主導した土(正式表記は「土'」)山明(つちやまあきら)教授がいる。飾り気のない気さくな研究者で、彼のまわりには笑顔があふれる。あるとき、土山氏の計らいで、本物の「イトカワの砂」を見せてもらった。小躍りして研究室に入った私の第一声は、「わー、小さっ!!」だった。ほんの100ミクロンほどの砂粒で、顕微鏡で拡大して初めて見えるくらいの大きさだ。しかしそれでも「本物」が放つオーラは圧巻だった。その砂粒を前にして、地球の近くをただよう小惑星イトカワの姿を想像しながら、私は幸せに包まれた。

 こんなに小さい粒子なのに、最先端の鉱物分析装置を使えばいろんなことがわかるらしい。もちろん、地球の砂が混入したわけではないことも明らかになっている。研究者たちは、カプセルを開ける瞬間から最大限の注意を払い、地球大気による汚染を可能な限り遮断しながら、小さな粒をひとつひとつ丹念に分析する作業を続けた。土山氏がいうには、「最初カプセルを開けたとき、肉眼ではほとんど何も見えなかったので、研究者たちは焦った。しかし簡単にあきらめてたまるか、と必死だった」。

 ある日、大学の生協食堂で土山氏と一緒に昼食をたべたとき、次の「はやぶさ2」の話題で盛り上がった。はやぶさ2が採取する小惑星「リュウグウ」の砂や岩の分析においても土山氏が大いに活躍するはずなので、その準備状況を尋ねてみた。「JAXA(宇宙航空研究開発機構)が大きな予算をつけて、イトカワの時よりもさらに最先端の分析装置を使うんですよね? たのしみだなー」。しかし返ってきた答えは違った。「いや、それがなかなか予算がつかないんだ。それに、そもそも確実に帰還するかどうかわからない物の分析を研究テーマにすると、研究費が認められないんだ」。

 なんということだ!未知の小惑星から届くはずの物質は、

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