モーニング1月24日号から連載スタートの弘兼憲史さんに聞く
2019年01月24日
『会長 島耕作』の国際リニアコライダー(ILC)編が「モーニング」1月24日発売号から始まった。東北・北上山地の地下に全長20キロの直線型加速器をつくるというILC計画は、日本学術会議が「日本誘致を支持するには至らない」との意見書を昨年12月19日に文部科学省に手渡したあと、日本政府が「誘致に対する関心」を表明して他国と協議を始めるかどうかが焦点になっている。表明の期限は3月7日とされる。それが迫る時期に連載を始めた作者、弘兼憲史さんに思いを聞いた。
――71歳になった島耕作がゴルフをしていて、ゴルフボール同士が空中衝突してしまうところから物語が始まります。電子と陽電子を衝突させるILCの話への導入部として、すごく面白いと思いました。
「ILCの話は難しいんですよ。もらった資料を全部書き込んでいったら、10回、20回あっても足りない。電子と陽電子の違いは何か、陽電子って何なんだ、実は物質には反物質があって、とか説明し始めたら、ページがぐっちゃぐちゃになっちゃう。これまでも近大マグロなど専門的知識を入れ込んだ作品を描いてきましたけど、今までで一番難しかったです。どこを捨ててどこを取り上げるか。とにかく、なんとなくでも、ああそういうことなんだとわかってもらわないと意味がないですからね。最初の3回は、まず基礎的なことを説明することになりました」
――どうしてILCを取り上げようと思ったのですか?
「以前から知り合いだった三菱重工の西岡(喬)さんに去年の春ごろかな、一緒に飯を食おうと誘われたんです。三菱重工の元会長で、今は特別顧問をされている。実は別荘同士がご近所で、西岡さんは自分の別荘に小さい天文台をつくっているぐらい天文オタクなんですよ。そういう西岡さんから『ちょっとお願いがある』と言われた。そのとき、2008年ごろから国際リニアコライダーの誘致をやっているんだけど、ほとんどだれにも知られていないと聞きました。そして理科系の西岡さんからこんこんとリニアコライダーのことを教えてもらったんですが、このときは何のことだかさっぱりわからなかった(笑)。でも、このプロジェクトは確かにやるべきだということは伝わってきた。それで、島耕作で描きますと約束したんです。ただ、そのあと台湾編を半年ぐらいやっていたんで、スタートがここまで遅くなりました」
――「やるべきだ」と感じた理由はなんですか?
「日本は
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