フェイクによって政治を強行する安倍政権の時代錯誤
2019年02月25日
毎月勤労統計の不正問題で日本の政治に激震が走った。2月5日の衆院予算委員会で厚労相が2018年1〜11月の平均の実質賃金の伸び率がマイナスであったことを認め、野党は「アベノミクス偽装」だと追及した。中央省庁が2017年にも377統計の一斉点検を実施し、約4割の138統計で不適切処理が確認されていたことが明らかになったが、毎月勤労統計の不正が浮上しなければ隠されたままであったろう。モリカケ疑惑で今や隠しようがなくなった日本の政治のフェイク(うそ)ぶりが止まらない。それはここ沖縄でも同様である。
沖縄では、昨年8月31日、その数週間前に急逝した翁長前知事の遺志を継いで、謝花副知事が辺野古新基地建設にかかる埋め立ての承認を撤回した。しかし国は、民間になりすまし、防衛大臣が行政不服審査請求を内閣のお仲間の国交大臣に対して行い、国交大臣は昨年10月30日に撤回処分の執行停止を行った。これを受けて沖縄防衛局は11月1日に工事を再開したのである。かねてより安倍首相は「沖縄の皆さんの気持ちに寄り添っていく」と言っていたが、辺野古新基地NOという県民の声を一切聞かず、昨年12月14日に辺野古沿岸海域2-1への土砂投入を強行したのだ。
また安倍首相は「砂浜の絶滅危惧種は砂をさらって別の浜に移す」とも発言したが、これまでにそのような事実はない。一国の首相がフェイクの答弁で工事強行を正当化しようとする由々しき事態である。そもそもサンゴや他の生物を移動・移植することにより自然の生態系が復元することはなく、移植は環境保全措置となり得ないのだ。
また安倍首相は1月30日の衆院代表質問で、大浦湾の埋め立て予定海域に軟弱地盤が存在し、改良工事が必要になるとの考えを政府として初めて表明した。沖縄県が埋め立て承認を昨年8月に撤回するに当たって最大の理由として掲げていた問題の存在を、撤回から5カ月後にようやく政府が認めたのである。
この問題を隠して工事を強行してきたことは、不正の毎月勤労統計でアベノミクスの成果を謳いあげるのと何ら変わらないフェイクによる政治そのものである。
このことから沖縄県は、前述のように昨年8月、承認を撤回したのである。加えて県は、工費は政府が言ってきたような2400億円ではすまず、10倍以上の2兆5500億円を要し、工期も13年はかかるであろうと批判した。
政府の地盤改良計画は、大浦湾の約65ヘクタールの海域に砂杭(サンドパイル)約7.6万本を水深70メートルまで打ち込むというものであった。国内に現在19隻しかないサンドコンパクション船を11隻同時に辺野古新基地建設に投入するという極めて非現実的な計画である。しかしここにきて、政府にとってまさに決定的に「不都合な真実」が新たに明らかになった。
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