流行のキューブサットも、エンジンを持たなければやっかいな危険物
2019年03月01日
ここ10年ほどで宇宙ゴミの問題が急速に深刻化している。既に1cm以上のサイズの宇宙ゴミだけでも50〜100万個あり、過去に打ち上げられた人工衛星の100倍近いほどだ。
宇宙ゴミの数や位置を示すイラスト。ゴミの大きさは強調されている(ESA)そんな「危険」な宇宙ゴミが50〜100万個だ。いかに宇宙が3次元的に広いとはいえ、衝突確率はゼロではなく、人工衛星の場所によっては年に10回以上も「衝突回避のための軌道変更」が必要となる。大型衛星の中には衝突対策を施している例もあるが、対策が最も完璧なISSですら年1度のペースで軌道を変えて衝突を避けているのである。
なぜ人工衛星の数に比べて宇宙ゴミが圧倒的に多いのか? 多くの方はこれを不思議に思われるだろう。
欧州宇宙機構(ESA)がまとめた2019年1月現在の宇宙ゴミの状況つまり宇宙ゴミの主な生成源は、人工衛星やロケット上段などの断片化なのだ。断片化の理由には色々あり、例えば天文衛星「ひとみ」の故障も断片化を引き起こしたが、特に重大なのが宇宙ゴミ同士や宇宙ゴミと人工衛星との衝突で、これだけで現在の宇宙ゴミの過半を説明する。例えば2007年に中国が行なった人工衛星破壊実験と、2009年の衛星同士(現役のイリジウム衛星と旧ソ連の古い衛星)の衝突の結果、宇宙監視網で見つかるぐらいの大きなサイズの宇宙ゴミが7割も増えた。
危険度は40J/gのエネルギーで大破するとして計算有料会員の方はログインページに進み、デジタル版のIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞社の言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください