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日本発水産エコラベルMELへの期待

環境に配慮した漁業を支援する認証制度は多様で良い

松田裕之 横浜国立大学大学院環境情報研究院教授、Pew海洋保全フェロー

 乱獲された水産物ではなく、環境にやさしい方法で調達された水産物を消費者が選ぶ仕組みに「水産エコラベル」がある。国際的には海洋管理協議会(MSC)と水産養殖管理協議会(ASC)が知られている。これらのラベルのついている水産物は環境に配慮して獲られたものだと消費者にわかるようになっている。

 世界には他にも多くの水産エコラベルがあるが、国際連合食糧農業機関(FAO)は水産エコラベルの国際指針として2005年に「水産物エコラベルのガイドライン」(以下「FAO指針」)を発行した。そして、各種の認証制度がFAOの指針を満たしているかを承認するのが世界水産物持続可能性イニシアチブ(GSSI)である。MSCとASCはGSSIがFAO指針を満たすと承認している。日本発の水産エコラベルであるマリンエコラベルジャパン(MEL)は2019年2月現在、GSSIに申請中である。

 このMELの普及に中心的な役割を果たしている大日本水産会が主催して「日本発世界に認められる水産エコラベルの課題と挑戦」ワークショップが2019年2月6日に赤坂インターシティコンファレンスで開催され、約200人が参加した。私が基調講演とパネル討論の司会を務めた。GSSIの審査員(Independent Expert)が国際認証制度の役割、漁業と養殖業の成功事例を紹介し、MEL認証を受けた国内漁業者、養殖業者が自らの取り組みを紹介した。翌7日にはGSSI審査員が鹿児島県長島町を訪問したという(写真)。

拡大2月6日のMELワークショップ=MEL協議会提供
拡大2月7日に鹿児島県の東町漁協を訪問し八代海を望むGSSI審査員。遠景は熊本県天草諸島=MEL協議会提供

 MELについては、専門家からの批判もある。特に審査過程の文書の開示などの要件を満たしていない。そのことは当日会場からも指摘された。けれども、結論から言えば、私の予想以上に、GSSIから「日本発の水産エコラベル」であるMELに期待と理解を示していただいた。以下、当日の議論の要点を紹介する。

GSSI未承認段階でのMELの扱い

拡大マリンエコラベルジャパンのロゴ。MELアドバイザリーボードの白石ユリ子氏の発案。
 MELは2008年に漁業認証第1号を与え、2019年1月現在、 ・・・ログインして読む
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筆者

松田裕之

松田裕之(まつだ・ひろゆき) 横浜国立大学大学院環境情報研究院教授、Pew海洋保全フェロー

京都大学理学部および同大学院博士課程卒業(理学博士)、日本医科大学助手、水産庁中央水産研究所主任研究官、九州大学理学部助教授、東京大学海洋研究所助教授を経て 2003年より現職。GCOE「アジア視点の国際生態リスクマネジメント」リーダー(2007-2012)、日本生態学会元会長、日本海洋政策学会理事、個体群生態学会副会長。ヨコハマ海洋みらい都市研究会共同代表。

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