ガラパゴスでよみがえった絶滅種と、辺野古で死に瀕する生き物たち
2019年03月15日
2月19日付けの朝刊各紙は、世界遺産ガラパゴス諸島の最西端に位置するフェルナンディナ島で100年以上も生息が確認されていなかったゾウガメの一種が発見されたと報じた。朗報である。
学名はGeochelone nigra phantastica。生きているフェルナンディナゾウガメが確認されたのは1906年が最後とのことであるから、実に113年ぶりの発見である。学名通り、まさにファンタスティックである。『世界遺産の登録に向けた仕切り直しの前に』で述べた通り、筆者はエクアドル政府に招かれて二度、かの地を訪ねたことがある。沖縄の自然保護の観点からもガラパゴスの自然保護にはとりわけ関心がある。
ガラパゴス諸島を代表する生物といえばゾウガメである。もともとGalápagoとはスペイン語で鞍を意味し、鞍の形の甲羅を持つゾウガメが「ガラパゴ」と呼ばれ、彼らが棲む島々がガラパゴス諸島と呼ばれるようになった。ガラパゴスのスは複数形のスで「ゾウガメたち」の意である。
ガラパゴス諸島はハワイ諸島や小笠原諸島、大東諸島と同様に、かつて一度も大陸と陸続きになったことのない海洋島である。フェルナンディナ島の周辺の海底下にはガラパゴスホットスポットがあり、このホットスポットから絶え間なくマグマが噴き出して、次々と島々を形成してきたのである。そしてこれらの島々は時とともにナスカプレートに載って東南東へ移動し、やがて南米プレートの下に沈みこんでいく。つまりガラパゴス諸島の最西端に位置するフェルナンディナ島は一番若い島で、生まれてまだ50万年しか経っていないのだ。
朗報に喜んだ2日後、今度は悲報に接することとなった。2月21日付け新聞各紙は、オーストラリア北部沖にある世界最大のサンゴ礁のグレートバリアリーフの島に生息していたネズミの一種が絶滅したことを政府が発表したと報じたのである。この島は面積約5ヘクタール、海抜約3メートルで気候変動の影響を受けやすく、海面上昇により繰り返し浸水していたという。研究者は、海面上昇で生息地が奪われたのが原因とみており、地球温暖化の影響で絶滅が確認された初めての哺乳類だとしている。
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