燃料税(炭素税)値上げは、地球環境保護派にとって鬼門なのか
2019年04月02日
今年の1月末、フランスで燃料税(炭素税)の引き上げがきっかけとされるイエローベスト運動についてインタビューしたり、デモにくっついて行ったりした。
日本でも、メディア報道などを通して、何かフランス全体で死傷者が出るような騒動が起きているという漠とした認識はあるかと思う。実際に、数十人の死傷者が出ているのも事実だ。ただ、どのような人が参加しているのか、実際に何を訴えているか、燃料税の問題がどの程度中心的な問題なのか、どの程度暴力的なのか、マクロン大統領はどのように対応しているのか、などの細かい内容に関する報道は多くないかと思う。
温室効果ガスの排出削減を目的の一つとする燃料税の値上げが、イエローベスト運動の始まるきっかけとはなったのは確かだ。
ただし、運動のきっかけではあったものの、今は、燃料税は中心的な問題ではなく、他の様々な問題が噴出している。燃料税(炭素税)反対という言葉だけを聞くと、フランス市民が、マクロンが重視している温暖化対策に反対、あるいは温暖化問題は軽視していると連想するかもしれない。しかし、実際は、そんな単純な話ではないというのが見聞した結果だ。
まず、マクロンにとって不運とも言える背景があった。
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