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辺野古の埋め立てこそ安倍政権の忖度だ

国交省の大臣・副大臣がそろって示した「絶対権力の絶対腐敗」

桜井国俊 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

 「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」は英国の歴史家ジョン・アクトンの至言である。4月6日付の沖縄タイムス1面は、この言葉通りの権力の腐敗の実態を沖縄県民にまざまざと見せつけるものであった。そこには、沖縄県による辺野古の埋め立て承認撤回に対して取り消しの採決をした石井啓一国交大臣と、安倍首相・麻生副首相への忖度発言で事実上の更迭となった塚田一郎国交副大臣の写真が並んで出ていたのである。同一の省庁の大臣・副大臣が偶然並んだというよりは必然の事態であるとの印象が拭えない。

目に余る忖度の横行

拡大国交大臣の裁決と国交副大臣の更迭を伝える4月6日付の沖縄タイムス
 総裁4選が云々される安倍首相が率いる現政権は、民主主義の仮面を被った絶対的権力に限りなく近い存在である。そのことを象徴するのが今回の塚田国交副大臣による安倍・麻生道路を巡る忖度発言と、トカゲの尻尾切りの同副大臣の事実上の更迭である。モリカケ以来、この国には忖度が横行しているが、絶対的権力の周りには、それにすり寄り、その意向を忖度する輩が群がっていることを改めて示したのが今回の更迭劇である。

 4月1日に新しい元号の「令和」が発表されたが、元号フィーバーで安倍人気が特に若い世代の間で急上昇している。天皇制の政治利用と言うしかない。天皇の政治への関与は憲法上ゆるされていないが、天皇制と民主主義を共存させようというのならば、天皇制の政治利用を抑制する仕組みが不可欠であろう。

 国交相裁決も国交相による安倍政権への忖度の産物である。そして沖縄に暮らす人々の目には、その政権自身も米トランプ政権に忖度し、武器を買いまくって南西諸島への配備を強行しているように見える。

国交相の裁決は公正か?

 まず今回の国交相裁決に至る経緯を見ておこう。昨年7月27日、翁長前知事が埋め立て承認撤回の意向を表明し、その遺志を受けて8月31日に謝花副知事が承認を撤回した。撤回の最大の理由は、2013年12月の仲井眞元知事の承認時には明らかでなった軟弱地盤や活断層の存在が判明したからであり、また環境保全対策が不十分と判断したからであった。

拡大沖縄県・辺野古沖の埋め立て予想図
 9月30日の県知事選までは選挙への影響を考慮し、政府は対応を控えていたが、知事選で辺野古新基地建設反対の玉城デニー氏が選出されると、なりふり構わず辺野古埋め立てへ突進した。沖縄防衛局が10月17日に国土交通相に行政不服審査法に基づき審査請求と執行停止の申し立てを行ったのである。これに対して10月23日、国内の行政法研究者94名が連名で抗議声明を発表した。行審法は、本来私人の利益を救済するのが目的であり、これを根拠に政府機関が審査を求めたのは限りなく反法治国家的であると抗議したのだ。極めて異例の抗議声明であった。

 玉城知事も、国交相が審査をするのは「あたかも選手と審判を同じ人物が兼ねているようなもので『自作自演』だ」と批判した。国交相も防衛相も安倍内閣の一員として共通の国策を担っているからである。しかし国交相はこのような批判を無視し、10月30日には執行停止し、それを受けて沖縄防衛局は11月1日に工事を再開、さらには12月14日には遂に辺野古側の2-1工区への土砂投入を開始した。 ・・・ログインして読む
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筆者

桜井国俊

桜井国俊(さくらい・くにとし) 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

1943年生まれ。東京大学卒。工学博士。WHO、JICAなどでながらく途上国の環境問題に取り組む。20年以上にわたって、青年海外協力隊の環境隊員の育成にかかわる。2000年から沖縄暮らし。沖縄大学元学長。

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