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身近になってきた宇宙をもっと身近に

「宙(sora)ツーリズム」という新しい取り組みが目指すもの

山崎直子 宇宙飛行士

4月12日は「宇宙記念日」

 地球から約3億km離れた宇宙で、小惑星探査機「はやぶさ2」が健闘を続けています。小惑星「リュウグウ」に2月22日に1回目の着陸に成功したとともに、4月5日には人工クレーター作成に成功するという快挙を成し遂げました。心から嬉しく、また誇らしく思います。続くサンプル採取、及び地球への帰還を楽しみにしています。

「リュウグウ」の表面への金属の塊の衝突を成功させ、記念撮影に応じるはやぶさチームの面々=2019年4月5日、相模原市中央区、恵原弘太郎撮影

 さて、4月12日は、宇宙と縁が深い日です。1961年にユーリ・ガガーリンが人類で初めて宇宙に旅立った日であり、その20年後の1981年にはスペースシャトルの初飛行が行われた日でもあります。

 実は、それよりも遡ること26年の1955年には、東京都国分寺市で日本初のペンシルロケット水平発射実験が行われた日でもあります。ですので、毎年4月12日には、世界各地で「Yuri’s Night」と称してパーティが行われています。

 ユーリ・ガガーリン以来、宇宙に行った人の数は600人弱となりました。私が幼少のころに想像していた「誰もが宇宙に行き来する時代」からは、まだちょっと遠いような気がしますが、ヴァージン・ギャラクティックのSpaceShip2が順調に試験飛行を重ね、今年中には宇宙旅行を開始できる可能性が出てきたり、ZOZO(ゾゾ)の前沢友作社長が月旅行を発表したりと、宇宙は着実に身近になって来ていることも事実だと思います。

将来、宇宙で暮らす人たちが現れるのか?

 私がスペースシャトル・ディスカバリー号で国際宇宙ステーション(ISS)の組み立て・補給ミッションに参加したのは2010年4月のことでした。世界で527番目、女性としては54番目の宇宙飛行者となりました。

 それ以来、将来、宇宙で暮らす人たちが現れ、宇宙文明が生まれるようになるのか、あるいは、結局人類は地球からは離れられず、今のように限られた人数が宇宙に滞在してはまた地球に戻るスタイルが続くのか、それが私の中ではテーマであり続けています。

 そういう想いから、2017年秋に「宙(sora)ツーリズム推進協議会」の共同発起人となりました。「宙(sora)」とは、空(sky)及び宇宙(spaceやuniverse)を包含する幅広いものとして捉えています。その「宙」の魅力を伝え、観光資源としてつなげていきましょうというのが「宙ツーリズム」です。国立天文台の縣秀彦先生、千葉工大&和歌山大学の秋山演亮先生、電通の荒井誠氏の想いに賛同し、私も理事を務めています。

科学館や自治体などと手を結んで

 2018年5月には、観光庁から「テーマ別観光による地方誘客事業」の一つとして採択され、自治体、天文台、科学館や宇宙開発の施設、宙に関する活動をする企業・団体・大学とのネットワークが強化されました。共同で「ツーリズムEXPOジャパン」に出展したり、マーケティング調査を行ったりしています。今年3月には、情報を集約したHP(https://soratourism.com)がオープンしました。

「宙ツーリズム」のホームページ。ロゴマークは太刀川英輔氏のデザイン

 「宙ツーリズム」には

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