電波天文学の超絶技術で可能になった長年の夢
2019年04月16日
そこで、ここでは社会とのミスマッチの分を少しでも埋めようと思う。短時間でしようとすると、話をはしょらなければならないがご勘弁。
まず、ブラックホール候補がどんどん見つかっていることから始めよう。
ブラックホールには軽いものととても重いものがある。軽いものといっても太陽の10倍ぐらいの重さで、これは重い星が超新星爆発をしたあとにできるもの。したがって成因は理解されている。かなり確実な証拠があるものだけでも私たちの銀河内で10天体ぐらいある。これは1970年代から、主にX線天文学によって解明が進んできた。日本の研究者たちがおおいに頑張った。
重いものは太陽の100万倍から1億倍ぐらいのもので、「超巨大ブラックホール」と呼ばれる。今ではこれはほとんどの銀河の中心にあると考えられている。ところがこの重いブラックホールがどうしてできたのかがわかっていない。銀河の中心をとりまくバルジと呼ばれる膨らんだ部分の重さの1000分の1程という値がそろっていることから、銀河ができる過程と関係があるらしい。
銀河によっては中心部分が異常に明るいものがあるということは電波天文学によって明らかにされてきて、「電波銀河」と呼ばれて次第に中心部分の活動の異様さが知られてきた。これと前後して、星のように見える「クエーサー」と呼ばれる天体が、何億、何十億光年という宇宙論的な距離にある銀河の中心の輝きであることが1963年に光学観測によってわかった。こうして、電波の謎と光の謎とが、共通の大問題となった。
銀河の中心で起こっているとてつもない現象を解明するために、電波望遠鏡は
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