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日本工学アカデミーが2019年緊急提言を公表

政府から独立した政策提言機関として、立法府への働きかけも試行

永野博 科学技術振興機構研究主幹

 研究開発分野において自主的な政策提言を継続的に行っている日本工学アカデミー(阿部博之会長)が4月8日、「2019年緊急提言―我が国の工学と科学技術力の凋落を食い止めるためにー」を発表した。

日本の工学を代表する中立的な組織

拡大創立30周年記念式典で挨拶する阿部博之会長=2018年1月19日
 日本工学アカデミーは1987年に創設された公益社団法人で、昨年、創立30周年を祝った。設立された当時は日本の発展がめざましく、米国との間では貿易だけでなく、科学技術振興のあり方をめぐって日米科学技術摩擦が火を噴いていた。米国政府との折衝は政府の役目だが、米国では政府から独立した科学アカデミーのような中立的な組織が政策提言などで政府の政策立案に大きくかかわっている。それを目の当たりにした当時の産学官の有志が、日本でも政府から独立した組織が政府とは次元の異なるレベルで米国と交流する必要があると考え設立したのが、日本工学アカデミーである。現在、私が専務理事を務めている。

拡大鶴保庸介大臣(中央)及び石原宏高副大臣(左)に説明する日本工学アカデミーの阿部博之会長、永野博専務理事、 中村道治理事=2017年6月
 日本の工学を代表する中立的な組織として、世界工学アカデミー連合の一員として活動するとともに、国内にあっては工学教育や技術者倫理のあり方、社会基盤のマネジメントのあり方、イノベーションの重要性など、工学、科学技術、高等教育をめぐる大きな課題についての調査、提言を行ってきた。

 2017年5月には、研究開発政策全般を見渡した最初の緊急提言をとりまとめ、関係大臣や関心を持つ政治家と意見交換をした。提言の柱は、人材の流動が普通に起こる環境を作ること、若手研究者人材養成のための大学院システムの改革などだった。この提言をフォローアップするとともに、2021年に始まる第6期科学技術基本計画への提案をも目的としてまとめたのが、2019年緊急提言である。

科学技術政策の総合的レビューの必要性も主張

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筆者

永野博

永野博(ながの・ひろし) 科学技術振興機構研究主幹

慶應義塾大学で工学部と法学部を卒業。科学技術庁に入り、ミュンヘン大学へ留学、その後、科学技術政策研究所長、科学技術振興機構理事、政策研究大学院大学教授。OECDグローバルサイエンスフォーラム議長を6年間、務めた。現在、日本工学アカデミー専務理事など。著書:『世界が競う次世代リーダーの養成』、『ドイツに学ぶ科学技術政策』

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