プラスチック袋の使用禁止令に取り組むサモア
2019年05月21日
南の島国サモアから便りが届いた。プラスチック文明に挑む本格的な戦いを始めたという便りである。サモアは南太平洋に浮かぶ人口約20万人の小国。元大関小錦の両親の出身地として知っておられる方も多いのではなかろうか。またこの国は、小説「宝島」や「ジキル博士とハイド氏」で知られる作家ロバート・スティーブンソンが晩年を過ごした国としても知られており、首都アピアにはスティーブンソン博物館や彼の墓がある。
時計の上では4時間遅れでサモアを追いかける日本は、プラスチック文明との戦いに全力でかかわる島嶼(とうしょ)諸国にいつ追いつけるのだろうか。
サモア天然資源環境省のセトア・アポ氏からの便りによれば、サモアで発生する廃棄物の28%がプラスチックであり、散乱するプラスチックごみは川を通じて海に流れ、最近の調査では97%の魚の体内にマイクロプラスチックスが検出されるとのことである。
サモアは島を取り囲む海の環境を守るため、昨年プラスチック袋使用禁止令を制定し、本年1月30日に施行したが、太平洋の島嶼国の中でこの手の禁止令の制定を行った最後の国だそうだ。いずこの島嶼国も真剣に海洋プラスチック問題に向き合っているということである。
サモアの禁止令では、プラスチックの買い物袋、包装用プラスチック、プラスチック製ストローの輸入・製造・輸出・販売・流通を禁止し、代替用品として紙袋や紙ストロー、パンダナス(タコの木)の葉を編んだ籠などの使用を推奨している。自然の中で分解するものによって成り立っていた、かつての島の生活の様式に極力戻ろうというのである。
言うまでもないことだが、彼らの海を汚しているプラスチックは、彼ら自身が出したものより、日本などの環太平洋の先進諸国からのものが圧倒的に多い。これら島嶼諸国はプラスチック廃棄物問題に率先して取り組むことで先進諸国の努力を促しているのである。
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