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次期スパコンの「富岳」は何をめざすのか

多様化するAI時代のスパコン戦略(1)

伊藤智義 千葉大学大学院工学研究院教授

拡大ポスト「京」の名称「富岳」を発表する理研の松本紘理事長=2019年5月23日、東京都中央区、田中誠士撮影
 ポスト京と呼ばれてきた次期スーパーコンピューター(スパコン)の名称が「富岳(ふがく)」に決まった。富岳とは富士山のことで、

富士山の高さがポスト「京」の性能の高さを表し、また富士山の裾野の広がりがポスト「京」のユーザの拡がりを意味します

理化学研究所の発表文)とのことである。富士山は日本を代表する象徴の一つであり、壮大なスケールを連想させる。目標は2021年の稼働で、「最大で『京』の100倍のアプリケーション実効性能を目指す」とされている。

計算精度と計算性能の関係

 「富岳」プロジェクトの概要は理化学研究所のホームページに掲載されている。目を引くのが「富岳」で用いられるプロセッサである。単体で2.7テラフロップス(毎秒2.7兆回の演算能力)を超え、「京」に内蔵されたプロセッサの20倍の性能となっている。これは倍精度の場合で、単精度だとその2倍、半精度だと4倍の性能に達する。

拡大神戸市の理化学研究所計算科学研究機構にあるスパコン「京」

 倍精度や半精度という用語は聞きなれないかもしれない。通常の数値計算は単精度または倍精度で行われる。単精度は、データの桁数が32ビットで、10進数になおせば7桁(107)程度の計算精度である。倍精度は単精度の倍の64ビットで、15桁(1015)程度となり、逆に半精度は半分の16ビットで、4桁(104)程度の計算精度になる。半精度は、整数でいえば、1から数万までの数値しか扱えないくらいの低精度である。「富岳」はさらに8ビットの演算にも対応している。8ビットで表現できるのは、0から255までのわずか256個の数値である。

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筆者

伊藤智義

伊藤智義(いとう・ともよし) 千葉大学大学院工学研究院教授

1962年生。東京大学教養学部基礎科学科第一卒、同大学院博士課程中退。大学院生時代に天文学専用スーパーコンピューター「GRAPE」の開発にかかわり、完成の原動力となる。現在は「究極の3次元テレビ」をめざし研究中。著書に、集英社ヤングジャンプ「栄光なき天才たち」(原作)、秋田書店少年チャンピオン「永遠の一手」(原作)、集英社新書「スーパーコンピューターを20万円で創る」など

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