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基地周辺の地下水汚染の解明にあらゆる方策を

日本環境管理基準に基づき、米軍基地への立ち入り調査を申し入れを

桜井国俊 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

 5月3日の論座「またも基地周辺で水道水の汚染物質を検出」で、米軍嘉手納空軍基地が汚染源と思われる有機フッ素化合物PFOSによる水道水汚染の問題を報告したが、この件はその後どのように展開しただろうか。

沖縄本島中部にある米軍嘉手納基地=2018年6月23日、朝日新聞社ヘリから、堀英治撮影拡大沖縄本島中部にある米軍嘉手納基地=2018年6月23日、朝日新聞社ヘリから、堀英治撮影

 飲料水の安全にかかわることだ。農業用水などとして利用されてきた普天間基地周辺の湧水(ゆうすい)のPFOSによる高濃度汚染も明らかになってきたので、沖縄の市民の危機感は急速に高まっている。京都大学医学部の教授たちは4月、宜野湾市大山の住民を対象に血中濃度調査を実施、全国平均の4倍のPFOSが検出された。琉球新報が5月17日付で報じ、さらに危機感が高まった。

 普天間基地に隣接する宜野湾市大山は、県民の誰もが知る田芋の産地である。田芋は、基地周辺の湧水を利用して耕作されている。このため田芋の安全が注目された。京都大学の調査チームは、大山の土壌と田芋も調査、土壌のPFOSによる汚染は、全国最大値の17倍に上っていた。だが、沖縄県は「土壌から田芋への移行率は低い」として安全を宣言した。しかし、田芋農家の風評被害への懸念は続いている。

 飲み水の安全について危機感を抱く女性たちは「水の安全を求めるママたちの会」を結成し、5月29日に記者会見した。水道水には、発がん性や、胎児・乳児の発育障害を引き起こす可能性が指摘されるPFOS、PFOA、PFHxSが含まれている。にもかかわらず、県企業局が「北谷浄水場での活性炭処理によって米国の基準値以下となっているから安全だ」と公表していることを、同会は疑問視しているのである。

那覇新都心の水は名護市の水の100倍の汚染

 日本の法律では、水道水の有機フッ素化合物の基準値は定められていない。だが、米国では環境保護局(EPA)が、生涯健康勧告値を1リットル当たり70ナノグラムと定めている。同浄水場の2018年度のPFOSとPFOAの合計値は、1リットル当たり29ナノグラムだ。北谷浄水場の水はEPAの勧告値を下回っているため、県は「安全」と主張している。

 しかし、米国では、独自に厳しい飲用水の基準を設定している州が複数ある。特に厳しいミシガン州は、PFOSが8ナノグラム、PFOAが9ナノグラムとなっている。企業局の安全宣言は、県民の目からすれば拙速の感が否めないのだ。 ・・・ログインして読む
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筆者

桜井国俊

桜井国俊(さくらい・くにとし) 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

1943年生まれ。東京大学卒。工学博士。WHO、JICAなどでながらく途上国の環境問題に取り組む。20年以上にわたって、青年海外協力隊の環境隊員の育成にかかわる。2000年から沖縄暮らし。沖縄大学元学長。

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