相次ぐ発見には象牙市場や地球温暖化の陰も垣間見える
2019年06月26日
ロシア・シベリアの永久凍土層から、骨格のみならず筋肉や内臓などの軟組織もよく保存された氷漬けの動物の発見が続いている。極寒のシベリアにいたマンモス(ケナガマンモス)の姿は日本でもよく知られるが、マンモスと共に同じ時代を生きていた他の動物の存在に目を向けることは、寒冷な氷河期の草原生態系の理解につながる。こうした動物たちの貴重な姿の一端は、現在東京・お台場の日本科学未来館で開催中の「マンモス展」(~11月4日まで)で見ることができる。
シベリアにマンモスが出現したと考えられているのは、約40万年前だ。最大で雄が体高3.5メートル、雌が同2.9メートル、体重もそれぞれ5~6トン、3~4トンはあったという。その巨体もそして約1万年前までにほとんどの地域で姿を消した。氷河期が終わったことによる環境変化や人類による狩猟の影響などが絶滅に関与したようだ。ただし一部の島には約3700年前まで残っていたとされる。
国内では2005年に愛知県で開かれた「愛・地球博」に、巨大な頭部が展示された「ユカギルマンモス」が有名だろう。約1万7800年前のもので、02年にシベリアのサハ共和国のユカギルという場所で見つかった。子どもではマガダン州から1977年に発掘された、約4万年前の「ディーマ」がよく知られている。
「マンモス展」で古生物の監修にあたる野尻湖ナウマンゾウ博物館の近藤洋一館長は「寒冷地にどのように適応していったか、骨からだけでは分からなかったことが、冷凍マンモスを調べることで分かるかもしれない」と話す。
こうしたマンモスは大きな体を維持するため、多ければ1日に200キロもの草を食べた。そのため広い草原で暮らすのを好み、そうした草原は他にも多くの草食動物を養っていた。
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