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永久凍土から現れたマンモスや同時代の動物たち

相次ぐ発見には象牙市場や地球温暖化の陰も垣間見える

米山正寛 朝日新聞記者(科学医療部)

 ロシア・シベリアの永久凍土層から、骨格のみならず筋肉や内臓などの軟組織もよく保存された氷漬けの動物の発見が続いている。極寒のシベリアにいたマンモス(ケナガマンモス)の姿は日本でもよく知られるが、マンモスと共に同じ時代を生きていた他の動物の存在に目を向けることは、寒冷な氷河期の草原生態系の理解につながる。こうした動物たちの貴重な姿の一端は、現在東京・お台場の日本科学未来館で開催中の「マンモス展」(~11月4日まで)で見ることができる。

 シベリアにマンモスが出現したと考えられているのは、約40万年前だ。最大で雄が体高3.5メートル、雌が同2.9メートル、体重もそれぞれ5~6トン、3~4トンはあったという。その巨体もそして約1万年前までにほとんどの地域で姿を消した。氷河期が終わったことによる環境変化や人類による狩猟の影響などが絶滅に関与したようだ。ただし一部の島には約3700年前まで残っていたとされる。

筋肉や内臓が残る冷凍標本も発見

拡大ユカギルマンモスの頭部冷凍標本=「マンモス展」PR事務局提供
 永久凍土からのマンモス発見は1799年から報告があり、見つかった骨格は世界で100体以上を数えるそうだ。ただし、筋肉や内臓などの軟組織を残して体の半分以上が見つかったのは、これまでにおとな3体と子ども8体に限られている。

 国内では2005年に愛知県で開かれた「愛・地球博」に、巨大な頭部が展示された「ユカギルマンモス」が有名だろう。約1万7800年前のもので、02年にシベリアのサハ共和国のユカギルという場所で見つかった。子どもではマガダン州から1977年に発掘された、約4万年前の「ディーマ」がよく知られている。

拡大子どものマンモス「ディーマ」の標本=「マンモス展」PR事務局提供
 子どもの方が多く見つかっているのは、過って沼や湖に落ちて助からないケースが、おとなに比べて多かったためだと説明される。「ディーマ」もまさにそうだったらしく、短い時間で地中深くに埋もれて永久凍土で保存されたため、他の動物に食べられたり、微生物による腐食を受けたりすることなく、生前に近い状態で残されてきた。

 「マンモス展」で古生物の監修にあたる野尻湖ナウマンゾウ博物館の近藤洋一館長は「寒冷地にどのように適応していったか、骨からだけでは分からなかったことが、冷凍マンモスを調べることで分かるかもしれない」と話す。

ケサイやバイソンなども養った広い草原

 こうしたマンモスは大きな体を維持するため、多ければ1日に200キロもの草を食べた。そのため広い草原で暮らすのを好み、そうした草原は他にも多くの草食動物を養っていた。 ・・・ログインして読む
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筆者

米山正寛

米山正寛(よねやま・まさひろ) 朝日新聞記者(科学医療部)

朝日新聞科学医療部記者。「科学朝日」や「サイアス」の編集部員、公益財団法人森林文化協会事務局長補佐兼「グリーン・パワー」編集長などを務め、2018年4月から再び朝日新聞の科学記者に。ナチュラリストを夢見ながら、とくに自然史科学と農林水産技術に関心を寄せて取材活動を続けている。

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